3年目の右腕がプロ初勝利を劇的に飾った。阪神浜地真澄投手(21)が1点リードされた9回に6人目で登板。3人で抑えて、その裏の逆転サヨナラ勝利を呼び込んだ。

「まだよく分かってないですけど、うれしい」。実感もないうちに、初めてのお立ち台に立った。「最終回の攻撃があったので、勢いをつけたいと思っていました」。先頭の井領に全球直球で空振り三振。平田には中前打を許したが、大島を144キロ直球で遊ゴロ併殺打に仕留めた。

今季開幕は先発ローテーションに入りながらも、2軍を行き来した。中継ぎとして今季13試合目でつかんだ記念星に、矢野監督は「去年は投げることがやっとの投手だったのを、俺も見てきていた。プロの第1歩を踏み出せたのは、あいつにとっても大きな思い出。一生忘れない1勝」と思いをはせた。

16年7月。福岡大会の初戦で、福岡大大濠高3年の浜地は涙を流した。県内屈指のドラフト候補として注目されながら、優勝候補はまさかの初戦敗退。「あの負けは引きずっているというか、忘れられない」。当時の新聞の記事を今も寮の部屋に貼ってある。

今年1月、地元福岡で行われた成人式に参加した。中、高校の同級生、多くの友人に会った。「まだ結果を残していないので、後ろめたさがありました」。昨季はファーム日本選手権の先発を任され、今年はプロ初の1軍キャンプスタート。プロ初登板を果たすなど少しずつ階段を上っている。「自信過剰じゃないけど、自分自身に期待しているというか。やらなきゃいけない」。

ウイニングボールは、ソラーテのサヨナラ弾になったため手元に届かず。まだまだこれから、白星をつかむチャンスがやってくるはずだ。【磯綾乃】