ハマの戦艦が、セ界の頂へ全速前進だ。同点で迎えた9回1死満塁。DeNA宮崎敏郎内野手(30)が、サヨナラ適時打を放った。

首位巨人が敗れたため、週末の直接対決を前にゲーム差は「3・5」と接近。前夜から始まったスターナイトの一環として、宇宙をイメージしたスペシャルユニホームに身をまとった戦士、ファン。一体となって、逆転Vへの航海に乗り込む。

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宮崎の波動砲は、強烈なゴロだった。3-3の9回1死満塁。打球が三遊間を抜けると、飛び出したナインから歓喜のシャワーの嵐。スポーツドリンク、氷水もあった。その数時間前。ルーティンとなっている氷風呂で、体を締めていた。「一昨年くらいから始めて。体の熱を冷ます効果がありますし。家でも氷を買ってきて、たまにやったりしますね」。球場ではお湯との交代浴も合わせ、さらには酸素カプセルで、戦いの疲労回復に努める。打席を振り返り「最高の気持ちです」。日々の氷風呂でも、劇的な勝利の熱は冷めることはなかった。

球場全体で、エネルギー補充120%だった。前夜から始まった夏の一大イベント『YOKOHAMASTAR☆NIGHT2019Supportedby横浜銀行』。ユニホームは宇宙をイメージしたスペシャル仕様で、選手が着用した同様のものがファンにも配布された。試合終了後には100機もの「ドローン」が横浜の上空を「宇宙空間ショー」として魅せた。まるで横浜スタジアムが宇宙船と化したよう。宮崎は「それが、宇宙戦艦ヤマトは見たことがないんですよね。宇宙と言えば、井納さんしか思いつかない」。ハマの宇宙人こと井納は2軍調整中だが、「本家」の波動砲がさく裂した。

1点を追う4回だった。DeNAヤマト(大和)の波動砲が、左中間を真っ二つに割った。「ここ最近の試合では得点圏で打てていなかったので、なんとか打ちたいと思って打席に向かいました」と二塁を回ったところで、さらに“全速前進”。試合前には、スターナイトの特別映像として、宇宙戦艦ヤマトの主題歌とともに、自身の映像も流れた。それに奮起したのか? 戦艦が体当たりするかのごとく、捨て身のヘッドスライディングで三塁を陥れた。

ハマの宇宙船に乗り込む戦士は、夏本番でも勢いは止まらない。これで、5カード連続の勝ち越し。首位巨人に3・5ゲーム差と、その背中は視界良好だ。さらば~地球よ~。旅立つ~船は~。横浜から、セ界の頂へ。航海は続く。【栗田尚樹】