広島西川龍馬内野手(24)が、球団新記録となる月間4本目の先頭打者本塁打で勝利に貢献した。プレーボール直後のファーストスイングで、巨人高橋の出ばなをくじいた。序盤のリードを継投で逃げ切り、3-2で接戦を制した。連勝を9で止められた前夜リベンジを果たした。再びゲーム差を5に縮め、1日はカード勝ち越しを狙う。

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刀を抜くようなスイングだった。プレーボール直後の4球目。巨人高橋の3球目までは反応しなかった西川が、バットを一閃(いっせん)。143キロの直球をはじき返し、きれいな放物線を描いて右翼席最前列に吸い込まれた。

先頭打者弾は自身初の21日からハイペースで積み重ね、月間4本は球団新記録だ。5月11日の1試合を含め、1番を任されてまだ15試合で、70年6月の三村、99年9月の緒方(現監督)がマークした球団記録を更新した。球団史を彩ったトップバッターの歴史を塗り替えた。「全く意識していなかった。先頭なので塁に出ることを心掛けている」。自身にとっても初となる、シーズン2桁本塁打到達で自分史も塗り替えた。

短期間で1番に適応してきた。初めて1番に入ったときは「バタバタ打席に入るのはあまり好きじゃない」と苦笑いを浮かべていたが、本拠地試合では守備のときから頭の中で打撃にシフトし始め、攻守交代時には打撃モードにスイッチを入れる。「スムーズに入っていけている」。ビジター試合の第1打席は8試合で7打数5安打(2本塁打)、1四球と強さを発揮する。

2日間与えられた球宴休暇期間には富士山に行った。有数のパワースポットに力をもらったのか、後半戦は60打数23安打で4割近い打率を残し、5本塁打、14打点。全試合で出塁し、11試合連続安打と当たりが止まらない。

チームは後半戦11勝3敗。西川が打てば、チームは勢いづく。西川が月間打率3割6分6厘の高打率を残した5月もチームは月間20勝を挙げた。後半戦の流れをつくっているのは、1番打者だ。緒方監督は「打撃技術は誰もが認めているところ。本塁打は最高のスイングをした結果。状態は間違いなく上がって来ている」と目を細める。自身初の2桁本塁打をクリアし、初の規定打席到達にも着実に歩を進める。成長続けるバットマンが、再浮上を目指すチームの中心となる。【前原淳】