エース復活!! 広島大瀬良大地投手(28)が今季2度目の完封勝利でチームを3連勝に導いた。カットボール主体の投球から一変、この日はフォークを多投。横の変化だけでなく、縦の変化球を多投し、阪神打線を困惑させた。志願の完封で中継ぎ陣を休ませるエースの働き。投打ががっちりかみ合い、首位巨人との差を3ゲームに縮めた。

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変わり身を見せた大瀬良の投球が阪神打線を惑わせた。最大のピンチとなった2点リードの4回。1死一、二塁で福留に対し、3球目フォークで追い込むと、最後の勝負球もフォーク。中飛に打ち取った。いつもは直球とカットボールを主体にする右腕が、この日はフォークを多投。横変化主体の投球に縦変化を多く加え、手玉に取った。7回1死から再び福留には2球フォークを含めた4球で追い込むと、最後は外角低めに直球をズドン。見逃し三振を奪った。投球の幅を広げた124球で今季2度目の完封勝利を挙げた。

捕手会沢との息が合った。1回はフォークなし。2回から徐々に増やした。「打者にはチェンジアップの感覚だったと思うのですが、アウトを結構取れた。反応もしてくれたので、邪魔になったのかなと」。前回までは1試合に数球しか投じないフォークをこの日は23投も投じた。そのうち左打者に20球。困惑させた。

防御率5点台に沈んだ6、7月は得意球カットボールの精度を欠き、同時に効果的だったフォークの精度も落ちていた。試行錯誤を繰り返し、カットボールはこの日も「ボチボチ」の出来も、シンカーのように落とすよう改良したフォークが完封に導いた。「力で押すときは押したい。それが理想。自分のベストピッチだと思う。悪いなら悪いなりにそういう投球もあり。今日も結果的にそうなった」。新たな形を見つけたことも収穫だった。

東京から蒸し暑い広島に移動したばかりの試合で1人投げきったのはエースの自覚。「中継ぎの人たちに世話になっていたので、行けるところまでいかせてもらおうと思った」。8回のマウンドを直訴し、再度聞かれた9回のマウンドにも志願して上がった。緒方監督も「今日はもう大地の投球、エースの投球に尽きる」と最敬礼。苦しんでいたエースがたくましさを増して、よみがえった。【前原淳】

▽広島会沢「(配球は)打者の反応を見ながら。今日は大地が素晴らしい球を投げてくれた」

▽広島佐々岡投手コーチ「8回で終わるのと完封するのは気持ちが違う。移動日なしの連戦。大地が(中継ぎのことを)考えて行きたいと思ったことが大きい」