ソフトバンクが2位西武との首位攻防第1ラウンドで敗れ、1ゲーム差に迫られた。エース千賀滉大投手(26)が山賊打線に2発を食らい、7回4失点で7敗目。先発登板に限れば自身初の同一シーズン3連敗。前回17日の対戦で9失点したリベンジを期していたが、返り討ちにあった。4連敗となったチームは31日以降の勝敗次第では、優勝マジック点灯の可能性もあれば、首位陥落もある状況になってきた。

   ◇   ◇   ◇

打球の行方を見るのも、途中でやめた。同点だった7回1死一塁。西武森への初球だった。千賀が投じた外角高めへの151キロ直球は、無情にも左翼スタンドへはじき返された。リーグワーストとなる17被弾目は、息詰まる終盤での2点を失うものとなった。両手を膝に付き、うつむいたまましばらく動けなかった。「紙一重でやられたかなと思う。でも結果がすべてなので。それだけです。森にはすごくうまく打たれた。あらためてすごいバッター」。エースは敗戦の責任を背負った。

前回対戦の17日はヤフオクドームで3回9失点の大炎上。西武には昨年も、競っていた9月に敵地で2度登板し、いずれも敗れていた。「意識しないわけがない」と、あえて闘志をむき出しにして上がったマウンドだ。「すごいバッターの集まり。気持ちを入れていった」。普段よりも力んだ部分もあったのだろう。疲労感も増した。6回無死一塁で外崎のバントを処理した際に、左足がけいれんした(記録は内野安打)。1度は治療に下がったが続投。そこから空振り三振、空振り三振、捕邪飛と執念を感じさせる投球で、無死一、二塁のピンチをしのいでいた。だが熱投は報われなかった。

工藤監督は「失投がないピッチャーはいない。森くんがうまく打ったというふうに見ています」と右腕をかばった。さらに「打たれたことは悔しいと思いますが、次の糧にしてほしい。これ1つ負けたからといって終わりではない。次に向けてやっていくことが大事」と話した。

今カード3連敗すれば首位を明け渡す。だが、指揮官は試合前から「この3試合で終わるわけではない」と、普段通りの戦いを強調した。初戦を落として1ゲーム差に迫られても、どっしりと構えて戦うつもりだ。優勝を逃した昨年は9月にメットライフドームで5連敗したが、同じ轍(てつ)は踏まない。【山本大地】