阪神がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの初戦を落とした。先発望月惇志投手が2回5失点KOも、3回以降は3投手の無失点リレーで反攻を待った。巨人の守護神デラロサを引きずり出し、9回は1発が出れば逆転というところまで追い詰めた。リーグ優勝した巨人に1勝のアドバンテージがあり、阪神は2敗。それでも矢野燿大監督(50)は「もう1つ負けられる」と強気だった。

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敗色濃厚の阪神が、一筋縄ではいかないしぶとさを見せつけた。4点を追う9回1死後に連打で巨人抑えのデラロサに襲いかかる。球を見極め、押し出し四球で3点差に迫り、なお2死満塁。1発逆転の展開で巨人ベンチもたまらず左腕の田口を投入する。木浪は三ゴロに打ち取られて敗れたが、激戦でDeNAとのファーストステージを制した不屈の闘志を知らしめた。

シーズン最後の6連勝で逆転CSを決めるなど、一貫して攻めの采配を振る矢野監督は強気に言う。「ある意味、ウチにとっては必要な負けと、俺はそう思っている。ある意味、もう1個負けられるわけだから、それをどうするか。日本シリーズに出るために最後、こうやってデラロサ出してこういう戦いをできた」。優勝した巨人に1勝のアドバンテージがあり、敗戦。残り2敗で、CS敗退が決まるが、連投で疲れがたまる勝ちパターンの中継ぎ陣を温存できた。“織り込み済み”の1敗なのだろう。

巨人との初陣先発を託したのはプロ4年目、22歳の望月だ。だが、初回から王者巨人の1発攻勢にのみ込まれる。2死後、丸へのフルカウントからの6球目。梅野はミットを内角に構えたが、速球はシュート回転して真ん中へ。完璧に仕留められ、バックスクリーン左へ運ばれた。その直後、岡本に左翼席へアーチを浴びた。痛恨の2者連続被弾…。2回も立て直せず3失点。大役を果たせず、悔しい5失点KOになった。

プロ1勝の望月を抜てきしたのは理由がある。指揮官は「一番、元気なヤツはモッチーかなと思った。経験も積ませられる。投手はみんな多く投げている。総合的に判断してモッチー」と説明した。将来を見込んで大舞台を任せた。結果こそ残せなかったが、大胆なタクトだった。登板過多が続く救援陣をカバーすべく岩貞がロングリリーフ要員で招集された。3回から2イニング無失点に抑え、生命線はさらに太くなった。

指揮官は続ける。「みんなよく投げてくれた。だから、最後、こういうゲームになった。投手が作ってくれた部分が大きい」。下克上での日本シリーズ出場に向け、第2ラウンドの逆襲を期す。【酒井俊作】