ソフトバンクを支える人々にスポットを当て、随時掲載する「支えタカとよ」。今回は球団公式映像中継リポーターの海里(みさと)さん(36)です。

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ヤフオクドームからのホークス戦中継で右打者の後ろ、カメラマン席に映っている女性が海里さん。打者が大映しになっている時は、いつも下を向いている。「あれは中継画面のモニターを見て、(イヤホンで)実況、解説を聞いているんです。ファウルボールにはもちろん気をつけていますよ」。まだ打球は当たったことはないという。

試合前に両球団の選手を取材した話を、試合中にリポートとして伝える。ソフトバンクの公式中継は実況アナウンサーも解説者もそれぞれ10人程度いて、毎日、組み合わせも違う。「解説者が投手出身、野手出身、捕手出身で入れる内容も変わってきます。実況の方のタイプによっても入れるタイミングは違います」。13年から務め7年目。その経験が抜群のタイミングにつながっている。

11年にRKB毎日放送のスポーツ番組「瞬感スポーツ」のキャスターとして、ホークスに関わるようになった。「最初は一塁か三塁か、どちらに走者が走るのかも分からなかった」と初心者からスタート。スコアブックをつけ、記者たちの質問を参考に勉強を重ねた。

ヤフオクドームのベンチから選手サロンまでの取材エリアは短く、数メートルしかない。そこで『すみません』と一番先に選手をつかまえているのが海里さん。「特技ですよね。最初は遠慮してつかまえられなかったんですけど」と笑う。

2年前から選手に聞いた言葉を別のノートに清書するようになった。「先輩の方から『選手が話した言葉は宝ものだから』と言われて。ホークスもそうだけどビジターチームも『前回、ヤフオクドームに来られた時にこう話していましたけど、この間は状態よさそうですが、どうですか』という聞き方ができるようになりました。質問の答えも変わってきました。野球の話をできるようになったというか、いまだに分からないことはいっぱいありますけど」。新聞、ネット記事を読むだけでなく、清書しておいた自分で聞いた言葉を質問の材料とすることで、自分だけの答えを、具体的に引き出せるようになった。

柳田、中村晃が離脱していた前半戦で今宮が3番を任されていた時だった。「今宮さんが『3番にそのままいたい』と本音を言ってくださったんです。それがうれしかった。ホークスも他球団もみなさんしっかりと答えてくれます。私は野球中継のリポーターなので野球を、選手の人柄を伝えたい」。今季はオープン戦10試合、公式戦はヤフオクドーム64試合、地方での主催試合8試合、CSファースト3試合の全85試合を1人で完走した。昨年までは数人で担当していたが、1人でシーズンを乗り切ったのは12年の鈴木千恵リポーター以来7年ぶり。内川と同じ82年世代。「他球団の選手に『まだいるね』ってよく言われるんですよ。三塁側にも認識してもらってありがたいですね。日本シリーズは放送がないので、しっかり応援しておきます」。経験だけでなく、努力を重ねた結果の1年間フル出場だった。【石橋隆雄】

◆海里(みさと)1983年1月6日、福岡県生まれ。芸名ではなく本名で、母親が海が好きなことからつけられた。身長167センチ。好きなプレーはダブルスチール。試合前にソフトバンク選手へのインタビューを行い、ヤフオクドームでビジターチームが勝利した場合のヒーローインタビューを担当することもある。