阪神は21日、元中日2軍監督の井上一樹氏(48=野球評論家)の1軍打撃コーチ就任を発表し、西宮市内で入団会見を行った。

背番号は中日時代から愛着のある99。矢野監督とは中日での現役時代にプレーした間柄で、22日に甲子園で始まる秋季練習から指導する。

ときには芝生の上で積極的に選手に語りかける。井上コーチは「コミュニケーション・モンスターになりたい」と宣言。技術指導プラス、「練習の合間や終わった後など、会話を持つことが大事」とモチベーションを上げることを重視する。すべては自己体験に基づく。コーチに声をかけられて励みになったこともあれば、逆にちょっとした言葉で傷つき、トラウマになったこともある。だからこそ選手を知り、自分を知ってもらうことで、やる気を引き出すことに重きを置く。

中日での現役時代は投手から外野手に転向し、勝負強い打者として活躍。引退後も中日一筋で、1軍打撃コーチや2軍監督などを歴任。その後は6年間、評論家として外から野球を見てきた。そんな経験、知識をかつてのライバルで発揮する。谷本球団副社長も「((阪神の)黄と(中日の)青を混ぜれば甲子園の芝生の色、緑色になる」と新たな化学反応を期待した。

チーム総得点538点は12球団最下位。強力な投手陣を擁する一方、得点力不足は急務の課題だ。井上コーチは今季2割5分1厘でリーグ4位のチーム打率について「1分上げること、得点力を上げること、長打力ももう少しほしい。それは無理じゃないと思う」と気合十分。ドラフト2位の履正社・井上との“ダブル井上”に、打力アップの期待がかかる。【高垣誠】

◆井上一樹(いのうえ・かずき)1971年(昭46)7月25日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島商から89年ドラフト2位で投手として中日入り。後に外野手に転向。99年には130試合に出場して初めて規定打席を満たし、打率2割9分6厘で優勝に貢献した。09年引退。通算1215試合、863安打、79本塁打、349打点、打率2割7分5厘。現役時代は184センチ、93キロ。左投げ左打ち。引退後は中日で1軍打撃コーチや2軍監督を務めた。