巨人だって「ONE TEAM」。「SMBC日本シリーズ2019」でソフトバンクに連敗スタートを喫した巨人原辰徳監督(61)が21日、7年ぶりの日本一に向けチーム全員で助け合う「フォア・ザ・チーム」の精神を反攻のカギに挙げた。

前回対戦だった00年日本シリーズの「ON対決」も2連敗から4連勝を飾り、逆転日本一を達成。福岡からの移動後、東京ドームでベテラン、若手が一体となった全体練習で汗を流し、22日の第3戦に備えた。

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連敗から一夜明け、沈みがちなチーム宿舎の朝食会場で、原監督は山本を呼び止めた。前日は7回の守備から途中出場し、先頭打者の三塁ゴロを失策し、直後に先制3ランが飛び出した。責任を一身に背負う26歳を呼び止め、語り掛けた。

原監督 どうだ、寝付きは良かったか。

山本 良くなかったです…。

原監督 いい経験してるよ。この悔しさを忘れなければ、素晴らしい選手になる。負ける経験なんて簡単にはできないんだから。堂々としてなさい。

大一番の失敗こそ、成長の糧になる。宿舎を出発する前には、ラグビー日本代表対南アフリカの試合をテレビで見返した。前夜は試合時間が重なり、大好きな応援ができなかった。「大善戦。しかし守備が堅かったな」と言って、自軍と重ね合わせた。「ミスをカバーするのがチームだからね。カバーできなかったのが昨日の我々なわけだから。ミスをした人間はそう落ち込む必要はない」と全員で支え合う必要性を説いた。

反省は選手だけに求めない。「ヨシ(吉村打撃総合コーチ)とも話したけど『俺たちが焦らせてるんじゃないか。焦らせる指導をしてるなら、反省だなぁ』って」。福岡から帰京すると、全体練習のために東京ドームに直行。丸、炭谷、陽岱鋼に歩み寄り、直接修正点などを確認した。

反攻には、打線の奮起が不可欠。3番丸は2試合で計6打数無安打に終わるなど、1~3番が計19打数1安打と結果が出ていない。第3戦で対戦するバンデンハークからは、丸が17年の交流戦で3打席連続本塁打を放っている。指揮官は「反省ができれば対策も必ずある。組織の中で、みんながリーダー意識を持っていると強いチームができあがる。しかし目立たず、ついていけばいいでは、足を引っ張る人になる」と高い志を求めた。全員で戦う「ONE TEAM」。結束の先に、明るい未来が待っている。【前田祐輔】