鬼軍曹じゃ。広島横山竜士投手コーチ(43)が21日、広島市内で就任会見を行った。

現役時代はカープ一筋20年で、主に中継ぎで507試合に登板。6年ぶりの現場復帰となる新コーチは、佐々岡新監督が掲げる一体感を大事にしつつ、自ら「鬼軍曹と呼ばれるように」と厳しさも求めていく。現役時代に先発も中継ぎも経験した兄貴分が、広島投手陣の再建に力を尽くす。

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6年ぶりの現場復帰に笑顔が目立った。球団旗の前に座った横山投手コーチの就任会見。現役時代よりも表情は穏やかになり、舌は滑らかになった。ただユニホームを着れば、別人となることを予告した。「僕の時代は“鬼軍曹”ばかりだったので、僕もそれを引き継いで“鬼軍曹”と呼ばれるように頑張っていきたいなと思います」。現役時代同様、厳しさを求めていく。

佐々岡新監督を知り尽くしているからこそ、鬼に徹する覚悟でいる。「佐々岡監督が非常に優しい方なので、僕は厳しさを出していきたいなと思います」。新指揮官が掲げる一体感あるチームは厳しさがあってこそ、強くなる。監督のため、チームのためなら嫌われ役をも買って出る。

広島投手陣には四球減の意識が浸透した一方で、腕の振りが弱くなる悪影響も感じていた。今季チーム奪三振はワーストタイの1068個。トップのDeNAとは100個以上の差があった。「四球を減らすために球を置きにいく、コントロールを意識するのではなく、攻める気持ちを持って、三振を取れるピッチングをやっていってもらいたい」。四球減という不変のテーマとともに、球質、強気な気持ちも磨いてもらう。

チーム防御率は昨季の4・12から今季リーグ2位の3・68に良化したが、逆転負けは26試合から32試合に増えた。最後まで勝ちパターンを確立できなかったことが勝敗だけでなく、チームの戦い方にも影響した。「後ろが決まらないと攻撃の仕方も決まってこない。1点を取る攻撃ができるように、1点を守るディフェンスを磨いていければ」。個々の成長が高いレベルの競争を生み、チーム力アップにつながる。「理想は全員クローザーができるリリーフ陣。選手にもそういう気持ちでやってもらいたい」。団結力だけでなく、競争力も求める。ブルペン陣強化は王者奪還のカギを握る。【前原淳】