阪神矢野燿大監督(50)が23日、大山悠輔内野手(24)に来季の「4番奪取」指令を出した。今季は開幕4番に座ったが不振のため8月中旬に打順降格。全143試合出場で打率2割5分8厘、14本塁打だった。

チーム最多の108試合で4番に指名した指揮官は言う。「4番は今年に関しては経験させる感じになったけど(来年は)そういうわけにはいかない。奪い取ればいい、悠輔が」。マルテや獲得を狙う新外国人らライバルとの競争になる。

群を抜く怪力にうなったのは新任の井上打撃コーチだ。秋季練習2日目のこの日もロングティー打撃で柵越え連発。ほれぼれする弾道に「見てもパワーがずばぬけているじゃないですか。4番を打たせるのも分かる」と声を上ずらせた。今年は外部から大山を見ており「ずっと(4番を)守りきれなかったのを、お前が満足じゃなくて悔しさを持たなあかんよ。そのパワーなら体やバットを振りまくってではなく、もっと腕の使い方によって優しく。体の使い方をこの秋に覚えよう」と、本人に伝えた。

今季、43発でパ・リーグ本塁打王の西武山川らのように力みなく、軽く振っているようでも飛んでいくホームランバッターの打撃は究極の理想だろう。同コーチは「もっと優しく」という表現を用いて、続ける。「背番号3をつけて三塁守って。日本国民ならホットコーナーと誰しもが憧れる、長嶋さんみたい。自覚も持ってやれるかは本人次第」。華のあるサードへ。この秋は攻守ともに進化のヒントを探る。【酒井俊作】