今季で退任する慶大(東京6大学)の大久保秀昭監督(50)が有終の美を飾った。高橋佑樹投手(4年=川越東)が7回までパーフェクトの3安打完封。郡司裕也捕手(4年=仙台育英)が先制2ランを含む2安打4打点。関大(関西5連盟第1)を圧倒し、00年以来19年ぶり4度目の優勝を遂げた。

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偉業は逃しても、慶大・高橋佑は優勝だけで大満足だった。大舞台で先発し無四球3安打完封。14個の内野ゴロで優勝に導き「1年生の時から目をかけていただいた大久保監督に最後に恩返しできました」と胴上げに加わった。

背番号34が、慣れ親しんだ神宮で完全試合ペースで投げ進めた。最速143キロにカットボール、カーブ、チェンジアップ。「全部良かった。大学最高(の投球)って言っていいんじゃないですか」と自画自賛した。大きく振りかぶるのも元中日山本昌を連想。関大打線を幻惑させた。

パーフェクトは8回先頭打者への安打で途切れるも「優勝の瞬間にマウンドにいるのは人生で初めて」と完封での優勝に喜びに浸った。中学、高校と決勝敗退の野球人生。シルバーコレクターになりかけた。「今日勝つためにこれまで負け続けたんだ」と強く念じ、負けグセにうち勝った。

リーグ戦通算16勝、全国優勝投手の誇りを胸に、社会人野球へ進む。「都市対抗で優勝できるよう、また頑張ります!」。あだ名はボンバー。北風に負けじと半そでアンダーシャツで投げ抜いた元気印が、100点投球で大学野球を卒業した。【金子真仁】

▽山本省吾氏(慶大OBで19年前、優勝の胴上げ投手。現ソフトバンクスカウト)「この5年間で大久保野球が浸透しましたね。素晴らしい日本一。高橋投手を見ていて、19年前を思い出し、自分が投げているように映りうれしかったです」