令和元年ストーブリーグの主役を張った。ロッテが26日、ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)権を行使した福田秀平外野手(30)の獲得を発表した。25日に正式発表した、楽天からFA権を行使した美馬学投手(33)に続くダブル獲得に成功。ドラフトで4球団競合の末、大船渡・佐々木朗希投手(18)を引き当てたことを含め、新戦力が続々と加わる。

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大のつく福田争奪戦を制したのはロッテだ。代理人から入団の意思を伝える電話をもらい、交渉にあたった松本尚樹球団本部長(49)も驚きを隠せなかった。美馬に続く朗報に「突然でまだ整理ができていない。十分に説明できたと思っていたが、これだけの球団が彼を評価してましたので。うれしいですけどびっくりしている」。宣言残留を認めるソフトバンク。ヤクルト、中日、西武、楽天。補償のいらないCランクの実力者に対する、過去のFA戦線でも例を見ない6球団の綱引きに勝った。

6日、福岡市内で交渉に臨んだ。条件は他球団と同等の4年4億8000万円ほど。上回る球団もあった。「その日しっかり誠意を見せたので、信じて待つしかなかった。井口監督の思い、鳥越ヘッドコーチの存在はとても大きかったのではないかと思います」。マネーゲームとせず、待ちを貫いた姿勢は吉。縁を大切にした福田はロッテを選んだ。

鈴木は楽天への移籍が決まったが、FAで投打の2選手を獲得。今季国内FA権を取得しながら残留を決めた荻野、益田を含め、着実な補強が際立つ。松本本部長は言った。「ロッテという球団を選んでもらえる。全員が一生懸命やってチーム作りをしている成果が、他球団の選手が来てくれるところなのかなと。そういう意味では誰とかじゃなしに、球団職員、ファンサービス含め、全てを評価してもらえてるのかな」。

今季最終戦までAクラス争いを続け、ファンは12球団一の応援を注ぎ、観客動員数は過去最高を記録。12月から社長職を兼務する河合オーナー代行は「まだまだチームが強くなれば、球団の魅力が上がり、観客動員も増えて、上に向いたスパイラルで上がっていける」。安田、藤原、佐々木と3年連続の高校球界のスターを獲得し「スター軍団の受け皿をきちんとつくりたい」と言った。FA=巨人、ソフトバンクだけでなくなった。実力者と生え抜きの融合。ロッテが令和のロールモデルを目指す。【久永壮真】