ソフトバンク内川聖一内野手(37)が大きな夢を描いた。第48回三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式が28日、都内のホテルで行われ、プロ19年目で悲願の「史上最遅」での初受賞に「チーム全員でこの賞が取れれば一番いい」と来季以降、史上初のチームでの全ポジション独占を期待した。「千賀&甲斐」の初育成バッテリー受賞、三塁手歴代最多受賞を更新する8度目受賞の松田宣を含め、今季の4人からの受賞者増を狙う。

ゴールデン・グラブ賞を初めて手にした内川が「恥ずかしい」と謙遜しながら、自分だけでなくチーム全体へ話を広げた。

内川 1回取っただけで大きなことは言えないですけど、この賞がもらえるということはチームの失点が減るということだし、チームにとってはプラスになる。指名打者のほか、9人全員がこの賞を取れば、チームにとって一番いいし、そうなればいいなと思う。

過去、パ・リーグでは、1978年(昭53)の阪急が一塁手1人(日本ハム・柏原純一)、92年(平4)に西武が外野手1人(当時ダイエー佐々木誠)をのぞく8ポジションを獲得したことはあるが、両リーグを通じて全ポジション独占はまだない。内川は遊撃手としてプロ入り後、外野手も経験し、今年は一塁手としてリーグ初となる守備率10割の記録も打ち立てた。

内川 (現ロッテの)鳥越コーチから一塁をやれと言われ逃げ出したかったこともあったが、感謝したい。これまで打つ方を意識していたのでこの賞が取れるとは夢にも思ってなかった。

1年間、一塁手として大きな故障なくチームに貢献してきた。「一塁は球を捕って初めてアウトになる。最後まで緊張感がある」。3年連続日本一の原動力である「守備力」を支えてきた。全ポジション独占となれば「史上最強の守備」を誇るチームとなる。

表彰式では全選手を代表してあいさつも行った。精神的な柱としてもチームを引っ張るベテランは、自分が手にした初の勲章を、チーム全員に広がることを期待し、表彰式で「金のグラブ」の重さを体で感じていた。【浦田由紀夫】