日本ハム大田泰示外野手(29)が、ついに1億円プレーヤーになった。3日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季の6500万円から3500万円アップで1発サイン。08年ドラフト1位で巨人に入団してから11年目にして、夢見てきた大台に到達。4番奪取、将来的なメジャー志向も堂々と言える、一流選手の仲間入りを果たした。(金額は推定)

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年俸1億円で契約更改した大田は、巨人、日本ハムで歩んだ11年間を思い返すように、言葉を紡いだ。

大田 高卒ドラ1でジャイアンツに入りましたけど、いっても2000万円くらい。それくらいの仕事しか、できていなかったのは受け止めている。ファイターズに入って試合に出る喜び、充実感をすごく感じている中で、しっかり評価してもらって、しっかりとしたお給料をもらえるのはうれしい。

巨人時代は周囲の出世を、うらやましく見守るしかなかった。「(坂本)勇人さんとか、すぐ(1億円に)いっちゃったから。菅野さんとかも。そういう選手がスーパースターだと思ってきた」。能力を発揮しきれなかったプロ野球人生は、16年オフのトレードを起点に、一変した。日本ハム移籍後の3年間で本塁打は49本。1億円に見合う、不動のレギュラーに上り詰めた。

大田 トレードで来ても、そうなれることを示せたらいい。下でくすぶって、レギュラーを取れない選手がトレードで出て行って、いろんな複雑な心境はあると思うけど、いいサンプルになれればいい。

突然変異をしたわけではない。巨人時代から、危機感を持って練習を続けてきたから今がある。「プレッシャーもあったけど、自分がクビになりそうだとか感じ始めてから、さらに練習するようになった。練習しないと不安になってくるようになったのが、よかったと思う」。

今オフは満を持して、来季の、そして近未来の野望を公言し始めた。1つは中田から4番を奪うこと。「自分にプレッシャーをかけて、4番を奪いにいく。チーム引っ張る選手になることを、自分で自分に感じさせる」。さらなる成長のための目標設定だ。

もう1つは将来のメジャー挑戦だが「まだ、ほど遠い。夢の1つ」。今季はキャリアハイの打率2割8分9厘、20本塁打、77打点をマークも、目指す数字はもっと高い。「打点は100を目指します。率も上がれば、本塁打も増える」。このオフも愚直に鍛錬を続ける。「これだけの体で親が生んでくれたので、技術が上がれば、ボールはすっ飛んでいきますよ」。3割、30本、100打点も夢じゃない。あこがれてきたスーパースターへ、まだまだ駆け上がっていく。【木下大輔】