「そうさ市」出身の「およかわ」を全国区にするぞ! 阪神ドラフト3位の横浜・及川雅貴投手(18)が26日、千葉・匝瑳(そうさ)市役所を訪れ、太田安規市長(75)を表敬訪問した。実家のある同市は「全国難読市ランキング」2位の読み方が難しい都市。及川自身も「おいかわ」と呼ばれやすい難読名字。プロの舞台で活躍し、故郷も自分自身も有名にする。

「匝瑳市を背負って立って。市民全員で応援してるので頑張ってください!」。市民を代表した太田市長のエールに及川の背筋が伸びた。「(U15日本代表選出時など)何度か来たこともあるんですけど、それまでとは違った感じがしました」。プロ野球選手になったことを再認識した。

西武伊藤、ロッテ鎌田に続き、同市から3年連続でプロ野球選手が誕生。及川は横浜高への入学前までを過ごした。「野栄(のさか)という地区に大きな公園があって、小さい時によく親に連れて行ってもらって、遊んでた記憶があります」と思い出は尽きない。でも悲しいのは、故郷が全国に知られていないことだ。

株式会社ウェイブダッシュが今年9月に発表した「難読市ランキング」によると、長野・東御市(とうみし)に次いで、千葉・匝瑳市は全国2位にランクイン。及川は「関西にかかわらず、千葉県内でも知ってる人が少ないと思う」と、全国はおろか県内での知名度の低さも実感している。

及川自身も読み方は「およかわ」ながら「おいかわ」と読まれることも…。「自分が住んでる地域だと逆に『およかわ』が普通なので。そういったところも含めて、早く活躍して匝瑳市を知っていただけたらいいと思います」。プロの舞台で活躍すれば、誰もがさらりと読んでくれるはずだ。

千葉県は2日前の25日、ZOZO創業者の前澤友作氏が台風被害の館山市に20億円をふるさと納税で寄付したことで話題になった。「活躍して1軍に定着して余裕が出てきたら、お世話になってきた方々だったり、千葉県に貢献したいというのはあります」。同市から約30キロ離れた佐倉市(当時は印旛郡臼井町)は大スター長嶋茂雄氏の出身地。「立場が全然違うのでなんとも言えないですけど、そういう選手になれたら」。ビッグな活躍で「そうさ」市の「およかわ」を全国に知らしめる。【磯綾乃】

◆匝瑳市(そうさし)2006年(平18)1月23日に八日市場市と匝瑳郡野栄町が合併して誕生した。千葉県の北東部に位置し成田空港から車で約30分の距離。総面積は101・52平方キロメートル。市の南部は九十九里海岸に面している。人口は3万6179人(19年11月30日現在)。主な出身著名人は、地井武男さん、元中日の宇野勝ら。特産品は赤ピーマン、大浦ごぼうなど。

◆及川雅貴(およかわ・まさき)2001年(平13)4月18日生まれ、千葉県出身。須賀スポーツ少年団で野球を始め、八日市場二中では匝瑳シニアでプレー。横浜高に進み、甲子園は1年夏、2年夏、3年春と3度出場。真っすぐの最速は153キロで鋭いスライダーも武器とする左腕。大船渡・佐々木、星稜・奥川、創志学園・西と「高校四天王」と称された。183センチ、74キロ。左投げ左打ち。

◆及川 インターネットサイト「名字由来net」によると、全国で277番目に多い名字で、およそ7万9100人。読み方は「およかわ」「おいかわ」の他に「おしかわ」「おびかわ」など。東北地方に多く見られる。