学童野球(小学生の軟式野球)の未来を開く集まりに潜入した。「第3回 神奈川学童野球指導者セミナー -少年期のスポーツ障害を予防する-」が19日、横浜市内で開催され、神奈川県の学童野球指導者、トレーナーなど約550人が参加した。

医師、理学療法士、プロ野球選手、コーチなどを講師に迎え、幅広い講演が行われた。野球離れと闘い、有能な人材を育てる。日本の野球の希望がここにある。

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野球人生はそれぞれで、みんな生い立ちや経歴って違うと思いますが、僕の中では小学1年から5年生までソフトボールをやっていたから今があると思うし、その後は中学卒業まで軟式野球をやっていたから今があると思っています。

ソフトボールは独特のルールで、ボールが大きかったり、距離が近いので球速の体感が速かったりします。その経験が硬式野球でも速いボールに対して目がすぐに慣れることができたのかもしれません。

軟式野球ではバットの芯に当たってもポップフライになったりします。軟球はゴムボールだから柔らかいし、硬球にはないゴロの跳ね方もしたりします。中学時代に硬式とは違う野球に触れていたことも僕の財産になっていると思います。また、軟式野球をやっていたおかげで肩、肘は負担がかからなかったと思っています。投手や内野もやりましたけど、ボールが軽い分、体にリスクは負わなかったのかなと僕は思います。

何より、軟球はボールの価格が安いです。それぞれの地域で少年野球や中学野球を普及させる上でもハードルが低いと思います。硬球はボールも高いし、硬式用のバットも高価です。それなりのグラウンドがないと、ボールもすぐに傷んでしまいます。比較すると軟球は体のできていない子どもでも取り組みやすく、ケガのリスクも少ないボールと言えます。

軟球の規格も時代によって、変わり続けています。僕が高校に進学した後も、たしか規格が変わっていたと記憶しています。変わってきた点は、飛びにくいとされてきた部分で、飛ぶように進化しています。これは、とてもいい進化だと思います。例えば、大人がたしなむ草野球でも軟球を使うことが圧倒的です。大人たちがもう1回、野球を楽しくやりたいと思った時に、よりボールが遠くへ飛んだ方が楽しいに決まっています。

ボールに合わせてメーカー側もバットの性能を高めるために開発競争でしのぎを削ると思います。飛ぶバットがあれば、みんな買うでしょう。そんなところに野球の面白さの原点がある気がしますし、大人が楽しめば「オヤジがやっているから」と子どもも野球に興味を持つかもしれません。野球が安全で誰でも楽しめる、もっと身近な存在に感じさせてくれるのが軟式野球。日本の野球の裾野を広げていくためには、必要な存在だと思います。(日本ハム大田泰示外野手)