ソフトバンク工藤公康監督(56)が、被災地へ“完全日本一”を誓った。25日、16年の地震で被災した熊本を訪れ、午前に菊池市、午後に山鹿市で小中学生の少年野球2チームずつ、合計約120人を相手に野球教室を開催。被災した翌年から4年連続4回目となる被災地訪問で、あらためて今季への熱い思いを口にした。

工藤監督 まだ復興半ばだし、自分がやれることをやりたいと思う。野球を通して子供らに頑張ってもらおうと思うし、何より(震災を)風化させないためにも、この野球教室を続けることが大事だと思う。

午前中の菊池市では、被害が大きかった益城町出身が多いチームを含め、2チーム全選手と「1球対決」も行った。「股関節が痛くなった。最初は良かったけど、最後はバテたね」と苦笑いしたが100球を超える投球で子どもらと「会話」した喜びを感じていた。「昨年も多くのファンの声援で日本一になれたと思っている。その恩返しの意味を込めて教室をやっている面もある」。17年から始めた熊本での野球教室。今年で4年目だが、過去3回はすべて日本一になった。「できれば今年はリーグ優勝しての4年連続日本一という思いはある」。被災地の子供らへ「励まし」と「恩返し」の“完全日本一”を誓った。

前日24日には九州北部豪雨被害を受けた大分県日田市の小学校を訪問し「今でも雨が降ると涙を流す子どもがいると聞いた」と心を痛めた。「心の傷はまだまだ癒えていない。短い時間だが、野球教室で対決した思い出が残ってくれればと思うし、本当に笑顔が戻るまでやり続けたい」。九州のチームの監督として、野球を通じた復興支援のハートは消えない。【浦田由紀夫】