プロ野球NPBは今日1日がキャンプイン。独立リーグBCリーグは4月11日(予定)の開幕に向けて3月中旬にキャンプインするが、BC新潟の稲葉大樹野手コーチ兼内野手(35)は、すでに始動している。昨季終了直後から体を動かし、仕上がりは順調だ。チーム創設の07年から在籍し、14年目になる今季はリーグ初の通算1000本安打達成が目標になる。独立リーグの鉄人が、前人未到の領域を前進し続ける。

シーズン中と同じ引き締まった体形で稲葉はオフを過ごしている。「下半身を鍛え直そうと思って」。昨年9月のシーズン終了直後から、ほぼ無休で練習。30分ほどのランニングと30メートルの坂道ダッシュ20本がノルマだ。バットも毎日振る。自主トレ中の若手とともにティー打撃もこなし、4月の開幕への準備を着々と進めている。

「今季はやらなきゃならない」。現在、通算安打は904本。自身が持つ独立リーグ通算最多安打記録を更新し続け、通算1000本の大台が見える位置にきた。「今季中の達成が目標」。打率3割7分で首位打者を獲得した11年、リーグ初の通算500安打を記録した13年の2シーズン、自己最多の100安打を放った。そこから7年。感覚は衰えていない。

昨季は重さ900グラムのバットを使っていたが、今季は880グラムを目安に軽量のものを試そうと考えている。「軽い方がいろいろな球種にアプローチしやすい」。常に打撃技術を追求し続けてきた。積み重ねが自信の裏付けになっている。

根本には「独立リーグ日本一になりたい。純粋に勝ちたい」という思いがある。新潟は12年に日本一になったが、それから頂点には立っていない。NPBドラフト会議では4年連続指名選手を輩出中で、あとは現場の結果がほしい。「自分が先頭に立って若手に姿を見せないと」。15年からコーチを兼任。ここ4年連続でプレーオフ進出を逃すだけに使命感は強い。

同じアルビグループに刺激になる存在がいる。B1新潟アルビレックスBBの五十嵐圭(39)、柏木真介(38)、J2新潟アルビレックスの田中達也(37)。競技は違ってもアラフォーの奮闘は励みになる。「自分も負けられない」。高い意識でチームをけん引するシーズンが近づいている。【斎藤慎一郎】

◆稲葉大樹(いなば・ひろき)1984年(昭59)8月22日生まれ、東京都出身。安田学園(東京)から城西大へ進学。4年の秋に遊撃手で首都大学リーグベストナイン。卒業後、クラブチームを経て、07年5月に新潟に入団。11年に首位打者を獲得。17年は通算5度目のベストナインに輝いた。15年からコーチを兼任。171センチ、80キロ。右投げ左打ち。