レジェンドをうならせた! 広島ドラフト1位森下暢仁投手(22=明大)が10日、宮崎・日南キャンプでブルペン入りし、今キャンプ最多の76球を投じた。阪神、広島などで活躍し、通算206勝を挙げた江夏豊氏(71)が森下の真後ろから初視察。注目の右腕に太鼓判を押した。

   ◇   ◇   ◇

黒いサングラスの奥に光る鋭いまなざしが、背番号18に向けられた。森下がブルペン投球を行うレーンの捕手の真後ろ。パイプ椅子にどっしり座った江夏氏は、ネット越しにドラ1右腕の76球全てを見届けた。「ボールだけを見させてもらえば十分即戦力。特に縦に割れるカーブがある。あれをうまく使っていけば、投球の幅も増える」。投球後は森下を絶賛する言葉が次々と口を突いた。

江夏氏は実働18年で最多勝2回(68、73年)、最優秀防御率1回(69年)、最優秀救援投手5回と数多くのタイトルを獲得したレジェンド左腕。自身の経験を踏まえ、プロで生きていく上でメンタル面の重要さを説いた。「彼の性格は分からないからなんとも言えないけど、投手は性格的なところで左右することがある。強気過ぎても、弱気過ぎてもダメ。その辺の切り替えがどれだけできるか」。

森下は同じくブルペン入りしていた大瀬良に連れられて江夏氏の下にあいさつを行った際、「頑張れよ」とエールを送られたという。この日はクイック投法に加え、新たにチェンジアップも解禁したこともあり「集中していたので、後ろは気にすることはなかったです」と冷静だった。クイックについては「思ったより強い球を投げられていますし、変化球がばらつかないように意識して投げました」と振り返った。

江夏氏はあらためて広島期待のホープについて「先発ローテーションの一角となって1年間投げることができれば、2桁勝てる要素はある。2桁勝てれば新人王も狙えるだろう」と太鼓判を押した。加えて自ら大瀬良の名を挙げて「これからエースを助けてあげないといけない。大瀬良がカープのエースに育っていくためにも、良い意味でライバルとなってほしい」。球界を代表する投手からお墨付きをもらった右腕。ますます注目度が上がりそうだ。【古財稜明】