阪神矢野燿大監督(51)と日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(66)が「V対談」を繰り広げた。近鉄、日本ハム監督時代に計2度のリーグVを成し遂げている梨田氏と、今季日本一を目指す矢野監督。今キャンプの手応えだけでなく、球団史上最多8人となった外国人選手の「ローテーション起用」など悲願のVに向けて語り合った。【構成=松井周治】

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梨田 投手では、気になるのは藤川。昨年の疲れとかが気になりますが。

矢野 現在(藤川)球児の抑えというのだけは決めています。もちろん、球児の状態が(悪かったとき)というのがあれば考えなくてはならないのですが、球児に任せたいな、と。アイツは個人の記録を気にしていないと思うのですけど、松坂世代と言われる中で、誰一人、名球会に入っていないので、球児に最初に。僕、現役で一緒にやっているというのもあるのですが、一番になってもらって。それは単なる通過点ですが、球児も本当にチームのことを考えて、盛り上げることもやってくれている。先日もボールに「笑」と書いたりとか、(藤浪)晋太郎とか他の選手にアドバイス送ってくれたりとか、いろいろやってくれています。

梨田 巨人がFAで選手をとれず、DeNAから筒香が抜けたりもしました。評論家としては他球団の状況も気になりますが、監督はどうですか。

矢野 正直今のところ相手どうこうは考えてなくて、自分のところをどうしようということばかりですね。

梨田 僕らは評論家ですから、他球団のことも気にしながらキャンプを見ますね。ところで、今年も矢野ガッツをやる?

矢野 はい、誰に注意されても、矢野ガッツをやりながら、選手と一緒になって楽しんでやりたいというのが、僕のやりたいことなので。チームスローガン(It's 勝笑 Time! オレがヤル)もみんなでミーティングして決められました。みんながいろんな意見を言ってくれた中で、金村コーチを今回採用したのですが、なんであのスローガンになっているのか、みんな分かってくれていると思います。練習もイヤやな、苦しいなというのはあると思うのですが、それも含めて楽しめたらいい、というのも分かってきてくれて。だから僕も先頭に立っていきます。

梨田 矢野ガッツは昨年「なんだこんなの」って言われていたけれど、俺はいいなと思っていて「最後まで続けてください」と言わせてもらった。監督というのは、何年やるか分からないけど、それは自分の責任なんで。人からああだこうだと言われたって、自分の意志を通しながらやっていく。それもみんなでやっていくというのは、すごく大事なことだと思います。

矢野 ありがとうございます。いつも応援していただいて。

梨田 苦しみながらも、楽しい選択をしてもらいたいです。

矢野 言われた通り、苦しい中でも楽しくやれたら、勝っていると思います。

梨田 楽しみにしています。

◆名球会 正式名称は「日本プロ野球名球会」。78年に創設された。入会資格は、投手の分業化が進み、日本人メジャーリーガーが増えたことなどから、現在は日米通算で投手が200勝以上もしくは250セーブ以上、野手が2000安打以上。

◆梨田昌孝(なしだ・まさたか)1953年(昭28)8月4日、島根県生まれ。浜田から71年ドラフト2位で近鉄入団。捕手としてベストナイン3度、ダイヤモンドグラブ賞4度。88年に引退し、93年にコーチで近鉄復帰。00年に監督に就任し、01年リーグ優勝。04年、近鉄球団消滅とともにユニホームを脱いだ。08年から日本ハムを率い、09年リーグV。11年に勇退し、16年から18年途中まで楽天の監督を務めた。