「2番近本」がまたはまった。阪神近本光司外野手(25)が15日、広島との練習試合(沖縄・かりゆしホテルズボールパーク宜野座)に「2番中堅」で先発して2安打とアピールした。これで実戦は全4試合で安打を放ち、打率は4割5分5厘と波に乗っている。20年型打線のカギの1つ、2番近本がぴたりと合い始め、広島高ヘッドコーチは「もちろん嫌です」と警戒心を強めた。

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曇天の宜野座でも近本は輝いていた。3回1死一塁。広島の先発アドゥワの初球、やや外寄りの140キロを強く引っ張り、ゴロで右前へ運んだ。「ランナー一塁の時は、一、二塁間に打とうと思っている」。2番で4試合連続安打。矢野監督の掲げる「2番近本」構想が、シーズン開幕に向けてまた1歩前進した。

試合には勝った広島が、その威力を身をもって感じ取った。高ヘッドコーチは真剣な顔で「いやらしいバッティングをする。2番ならいろんなオプションが出てくる。いろんな小技ができるし足もある。1番が倒れたとしても、また1番打者の役割もできる器用な選手だと思う」と警戒を強めた。2番近本がはまってくれば「もちろん嫌です」ときっぱり。昨季の近本は広島戦でカード別最高の打率3割3分7厘。嫌なイメージをさらに増幅させた。

1回にも右前に安打を運んで出塁。塁上でリードを大きく取ったり、盗塁のスタートを積極的に仕掛けるなどアドゥワを揺さぶり、サンズの四球を誘った。矢野監督は「ほんと2番を楽しんでやってもらえれば、すごくやりがいがあると思う」とニンマリ。9日の日本ハム戦(宜野座)でも右翼席上段に豪快な1発をたたき込むなど、万能型2番になりつつある。指揮官は「いい2番になる感じはある。これからもうちょっと試しながらやっていきたいと思う」とさらに引き出しを増やしていくつもりだ。

この日は兵庫・淡路島から未夢(みゆ)夫人と1人娘も応援に駆け付けていた。近本は「子どもは全然見られないし(試合中は)どこにいたかは分からないですけど…」と苦笑いだが、格好いいパパの姿を見せた。実戦4試合すべて2番に座り、11打数5安打で打率は4割5分5厘。安打はすべて右方向で「しっかり振ろうというのはある」。昨季リーグ新人最多159安打のリードオフマンが「恐怖の2番」に生まれ変わりつつある。【只松憲】

▽阪神清水ヘッドコーチ(近本について)「2年目のジンクスを感じさせない。矢野監督が求めている相手にとって嫌なことをしてくれていると思う」