ソフトバンク岩崎翔投手(30)が「8回の男」復帰へ名乗りを上げた。17日の紅白戦で1回を投げ、1安打無失点で今春キャンプの実戦初登板を終えた。直球の最速は147キロ。「ブルペン投球ではよかったけど、打者と対戦して力が入りすぎたり、考えすぎて、ブレが大きかったかな、と思う」。全17球の投球を振り返った岩崎の自己採点は「30~40点」と超辛口だったが、それも「復活」にかける思いの裏返しだ。

1死から栗原に左翼線を破られ二塁打された後は、意地で生還を許さなかった。ドラフト1位の佐藤直樹外野手(21=JR西日本)、高田を内野ゴロに仕留め、無失点で切り抜けた。「まずは1歩前進だったかな、と思います」。登板後は大粒の汗をしたたらせた。

右肘痛に苦しみ続けた。17年には72試合に登板し最優秀中継ぎ投手賞を手にしたが、代償も大きかった。その後の2年は3度の手術とリハビリ生活。心が折れかけたときもあった。昨年8月にようやく1軍復帰。2試合登板で「復活」の道筋が見えたが、岩崎自身が納得する投球フォームには戻らなかった。今季からOBで守護神も務めた馬原孝浩氏と個人トレーナー契約を結んだ。1月の自主トレでは馬原氏の助言で、横振りになっていた投球フォームも改善。手応えをつかんで今キャンプに臨んだ。

「もっとフォームをしっかりすれば、スピードも上がると思う」。昨年、ルーキーながら「8回の男」を務めた甲斐野が右肘靱帯(じんたい)を痛め開幕絶望となっただけに、岩崎復活への期待は大きい。「今は右肘の怖さもない」。開幕へ向け、「復活ロード」を着実に歩む。【佐竹英治】