ソフトバンク東浜巨投手(29)が「ペイペイドーム開幕戦」で自身初の開幕投手を決める。29日、阪神とのオープン戦がヤフオクドームから名称変更して初めての試合。栄えある先発に向けて「ヤフオクドーム最後の日」は入念な調整にあてた。開幕投手の大本命だった千賀の2軍調整が決定する中、大役どりへ全力を注ぐ。試合は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため無観客で行われる。

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久しぶりに感触を楽しんだ。ソフトバンク東浜がペイペイドームに改称されるマウンドから、捕手を立たせて軽い投球練習を行った。「久しぶりだったし、感覚を確認したかった」。高ぶる気持ちを抑えるようだった。福岡でのオープン戦は29日からスタート。地元開幕戦の先発を任され、5回、70球程度をメドに投げる。「最後のヤフオクドーム」で約1時間汗を流した右腕は、「これまでやってきたことを1つ1つしっかりやるだけです」と決意を口にした。

開幕投手の本命だったエース千賀が、右前腕部の張りのため29日から2軍で調整することが決定した。工藤監督は「すごく調整が遅れているわけではないが(1軍に)一緒にいると本人が焦ってしまうところもあるし、しっかり治してもらいたい」と説明。回復次第では開幕ローテーション入りも不可能ではないが、現時点では黄信号が点滅している。開幕投手争いの点では大きく後退した形となった。

チームの非常事態は、東浜にとって初の大役を狙えるチャンスでもある。好投すれば逆転で当確ランプを点灯させられる。「これからは球数、イニングが増えていって、全てに結果が求められてくる」。昨年6月に右肘手術を受け、復活を誓って今キャンプに臨んでいた。「内容は濃いものだった。肘の不安も全くない」。覚悟を持ってマウンドに向かう。

苦しむ千賀と対照的に東浜は調整が順調だった。前回23日のオリックスとのオープン戦でも先発して3回無失点。走者を置いて迎えたメジャー通算282発のジョーンズも空振り三振に仕留めた。17年の最多勝投手が、2戦連続の好投で初の大役をたぐり寄せる。【浦田由紀夫】