“三木流”がじんわり浸透してきた。三木肇監督(42)率いる楽天が、巨人に7-3で勝利。8連勝でオープン戦を締めた。豊かな発想力で攻守に多彩なバリエーションを盛り込み、白星へとつなげた。

開始2分30秒でかっさらった。初回、先頭山崎幹が中前打。続く小深田の初球でエンドランがかかり、お手本通りの二ゴロで1死二塁。3番辰己が巨人田口のスライダーを左中間フェンスへ直撃させ適時二塁打とし主導権を奪った。オープン戦でのチーム打席数1~3位と期待する若手打者の活躍にも、新任監督は「僕は全然満足していない。もっとやってほしい」と奮起を促した。

勝利への道は無数に存在する。13日の巨人3連戦初戦。同点の8回2死三塁で小郷が決勝スクイズ。翌14日には同点の9回1死二塁に中堅手の山崎幹を二塁ベース付近まで前進させた。ポストシーズンさながらの動きにも「僕は特別、極端にやったつもりはない」。

就任直後の昨秋、そして春のキャンプで実戦形式の練習に時間を割き、選手との対話を十分に積み重ねてきた。「いろんな形で点を奪い、攻めながら守ることがテーマ。ベンチワークと選手の考えがマッチできるように根拠を持ってチャレンジしたい」と模索する。

3日のDeNA戦から負けなしの2週間を経て、本来なら1週間後に開幕。ただ、緊急事態により、理想を求める時間が生まれた。「前進はしている。でもいい形で来ているとは思いたくない。シーズン中も成長しないと。ずっと途上。永遠に限りなく取り組んでいく」。“三木流”にゴールはない。【桑原幹久】