真っ青な甲子園の空の下。背番号5の無邪気に白球を追いかける姿があった。その姿はまさに高校球児のようだった。阪神近本光司外野手(25)が25日、腸炎で1軍離脱後初めて外野ノックを受けた。「やっぱり久々にすると楽しいですね。野球は。キャッチボールもノックもバッティングも」。練習後に汗をぬぐいながら笑顔をこぼした。

3月17日から腸炎のため3日間全体練習を欠席。20日に甲子園で再始動し、1軍が関東遠征を行っている期間でも「ちょっとずつ。無理せず」と焦ることなく慎重に調整を重ねてきた。

昨季は142試合に出場。1年目シーズンからフル回転した。そんな近本が、今回の離脱で一番感じたことは「野球ができることの喜び」だった。「こういう状況(新型コロナウイルスの感染拡大)で野球ができないところもあると思う。やっぱり野球って楽しいなと思いますし、そういうのをどんどんメディアを通して伝えないといけないと思います」。近本も自身のTwitterで「こんな企画をしてほしい。こんなところが見たい。こんなことを聞きたい」などの質問をフォロワーに募集。無観客試合を余儀なくされているファンへ、元気を与えている。野球のできない、見ることのできない人々の分まで、その喜びを積極的に体現しようと日々励んでいる。

近本は27日の全体練習から屋外での打撃練習を始める。他の選手とは約10日間分ブランクがあるが、気づくことができた大切なことがある。野球ができる喜びをかみしめ、背番号5は全力で走り回る。【只松憲】