阪神が27日、藤浪晋太郎投手(25)伊藤隼太外野手(30)長坂拳弥捕手(25)の3選手が新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性判定を受けたことを公表した。

いずれも26日深夜に判明。日本野球機構(NPB)の選手の感染判明は初のケースとなった。揚塩健治球団社長(60)がこの日の午後、甲子園室内練習場で会見を行って発表したが、チームの活動停止期間がさらに延びる可能性もあり、非常事態が収まる気配は見えてこない。

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阪神揚塩球団社長は冒頭で頭を下げた。藤浪、伊藤隼、長坂の新型コロナウイルス感染の公表会見。「感染拡大防止のために国民を挙げて取り組んでいるさなか、そしてプロ野球の公式戦開幕に向けて期待しているファンの皆様方、関係者の皆様方に対しましては不安、ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ございません。このような事態になりましたことを重く受け止めております」。3選手とも26日にPCR検査を受け、いすれも深夜に陽性が判明。長坂は27日未明に兵庫県内の病院に入院し、藤浪と伊藤隼は同日午後に大阪府内の病院に入院した。

3選手の入院期間は不明。藤浪と伊藤隼は発熱やせきなど風邪症状はなく、嗅覚の異常も改善されているといい、長坂は風邪症状はないものの味覚、嗅覚の部分で少し自覚症状が残存しているという。NPB球団で初めて感染者が出たショッキングな事態で、早期復帰を祈るしかないが、チームを包む厳戒態勢は続く。

球団では前日26日から4月1日まで1軍、ファームともに練習を行わない方針が出されているが、揚塩社長は「状況によって判断していきたい。状況によっては、この1週間が延びるかもしれません」。練習施設は26日中に消毒済みで練習再開を待つ状態。保健所で検査を受けて無症状の場合は一部練習を解禁するなどのケースが探られるとみられる一方、新たな感染者が発覚した場合などはさらに停止期間が延長される恐れがある。

揚塩社長は、14日の会食には3選手の他にチームメート4人と社外5人の計12人が同席したことも公表した。ただ、保健所の指導を受けながら懸命に感染経路について究明を進めているが、確定にはいたっていない。もちろん、この1週間以内でも甲子園や鳴尾浜で練習していた時期がある。現時点で3人以外に新たに体調不良、味覚、嗅覚の異変を訴えている選手、首脳陣、スタッフはいないというが、今後再び激震に見舞われる可能性もある。

前日26日からチームには自宅待機が通達され、原則として外出と外食の禁止も言い渡されている。本来であればこの日はチーム練習の再開日だった。見えない敵に襲われている虎の非常事態の終息は、まだ見えていない。【松井周治】

○…26日に通達された原則的な外出、外食の禁止は継続される。他球団は外出禁止など内規を定めるケースも見られたが、阪神は不要不急の外出の自粛などにとどまっていた。揚塩球団社長は「結果的にこのように感染者が出たということに対しては、今から思えば、もう少し厳しく外出禁止という形で臨んでいた方が良かったのかなという反省もございます。結果的にこのようになりましたので、大変申し訳なく思っております」と話していた。