熱いシーズンはまだ見られないけど、ドラマチックな場面を今年も見たい。そこで、これまで球史に残るワンシーンを生み出してきた「代打の切り札」を深掘りした。

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メジャーでは90年代を中心にメッツなどで活躍したレニー・ハリス、元中日で00年代にフィリーズなどで活躍したマット・ステアーズら、かつては代打の切り札的な打者が存在した。マリナーズのイチロー球団会長付特別補佐兼インストラクターも現役終盤のマーリンズ時代に代打起用が中心となり、17年には代打のシーズン記録で歴代トップの109打席、100打数をマーク。安打数でも、メジャー記録にあと1本と迫る27本を記録した。

だがメジャーは出場登録できる選手が26人(昨季まで25人)と少なく、契約上マイナーとの入れ替えが困難なケースも多いため、代打のスペシャリストは生まれにくい。昨季までの25人ロースターでは、野手は基本的に捕手2人、内野手6人、外野手4人で交代要員はわずか4人。最近では代打の切り札よりも、複数ポジションを守れる「ユーティリティー」選手が重宝されるようになり、攻守に優れたユーティリティー選手も増えてきたため、代打中心の選手が登録枠に入る余地がなくなってきた。

リーグ別に見れば、投手が打席に立つナ・リーグの方がDH制のア・リーグよりも起用回数は多い。昨季はアが計1367打席だったのに対し、ナは4297打席だった。