阪神藤浪晋太郎投手(26)が24日、甲子園での1軍集合練習で再開されたシート打撃に登板し、打者5人から4三振を奪った。

3月下旬の新型コロナウイルス罹患(りかん)で調整遅れも心配されたが、67日ぶりの実戦形式マウンドで回復ぶりを証明。視察した矢野燿大監督(51)も広報を通じて「躍動感ある投球だった」と評価した。まだ流動的な開幕ローテ5、6番手争いでアピールを続けていく。

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結果を聞いただけでも、ホッと胸をなで下ろせる。藤浪は順調に再スタートを切っていた。シート打撃に登板し、打者5人から4奪三振。甲子園の青空に似つかわしい、スカッとした快投で回復ぶりを証明した。

「思ったよりしっかり投げられました。久しぶりなのでもう少し投げにくさとかはあるかなと思いましたけど、その辺はなかった」

広報を通じて届けられた言葉にも充実感がにじみ出た。3月18日の2軍練習試合オリックス戦以来、67日ぶりの実戦形式。福留を低め直球で二ゴロに打ち取ると、上本、北條、植田、江越は直球2つ変化球2つを決め球に使い、4者連続で空振り三振に仕留めた。

「全体的にストライク先行でいけたので、ある程度は良かった。今日は真っすぐが多かったので、もう少し変化球で簡単にカウントを取ったり、次回以降そういうことができれば」

本人は冷静に振り返ったが、課題とされてきた右打者3人から3奪三振。なかなか空振りを奪いきれずにいた不調時を思い起こせば、空振りで4三振を奪った点にも期待感が募る。

3月26日深夜に新型コロナウイルス感染が判明。入院、自宅待機期間が計1カ月近く続いた。調整遅れも心配されていたが、矢野監督は前日23日、それでも背番号19が依然として開幕ローテ候補の1人であることを明かしていた。

指揮官はこの日、広報を通じて「躍動感ある投球だった。三振も取れたところで、本人も手応えがあったと思う」と納得。快投で周囲をひと安心させた形だ。

現時点でシーズン開幕は最短6月19日。まだ流動的な開幕5、6番手争いで生き残るためには、アピールの継続が求められる。

「体の状態はだいぶいい。腕も振れていますし、真っすぐも走っている。あとは自分の意図を持って投球ができるように、開幕に向けてしっかりやっていければと思います」

復活へ、甲子園のマウンドから大きな1歩を踏み出した。【佐井陽介】