顔、顔、顔、顔、顔…。パソコン画面は慶大野球部員の顔であふれていた。活動休止中の5月、Zoomを用い、週1回のオンライン全体ミーティングを開いていた。文字通り“全体”だ。学生コーチ、マネジャーを含む全部員173人に、堀井哲也監督(58)竹内大助助監督(30)で総勢175人がずらり。瀬戸西純主将(4年=慶応)は「自粛で大学を離れたメンバーもいた。帰属意識を保つため、全体で集まる機会を作りたかった」と振り返る。

単なる安否確認ではない。毎回、堀井監督がテーマを設定。初回の「監督は絶対か?」から、「過程と結果」「負けない野球とは」と、野球について考えるものが続いた。事前準備として、部員たちは約10人ずつのグループに分かれ、こちらもオンラインで議論。「プレーするのは選手。監督が絶対になってしまうと、劣勢で巻き返せない」といった遠慮ない? 意見をあらかじめ堀井監督に送った。

堀井監督は「選手が考える取っ掛かりになる。責任を持って発言する機会になったかな」と期待する。事前の議論では、各グループ、あえて1年から4年まで入り交じった。瀬戸西は「普段は考えを聞くことがなかった人の意見も聞けた。他の大学と違い、甲子園常連校の選手が少ない。自主性で差をつけて、試合中も1人1人が考えていかないと」と結束に胸を張った。

今春リーグ戦は8月に延期。1試合総当たりの変則となるが、昨秋王者として連覇を狙う。8日、2カ月以上ぶりに活動再開。学年関係なく、ワンチームで戦っていく。【古川真弥】