ソフトバンクの怪力コンビが強烈弾で競演した。オリックス戦の8回2死走者なし。3番柳田悠岐外野手(31)が2戦連発となるバックスクリーン弾を放つと、4番ウラディミール・バレンティン外野手(35)は左翼席中段へ運んだ。試合は大敗の中、初の「YBアベック砲」で打線の軸はエンジン全開になった。開幕ローテーション6人も内定。3年ぶりのV奪回を狙うチームの投打の柱が固まり、開幕が待ち遠しくなった。

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もしペイペイドームに観客がいれば、盛り上がりは最高潮だっただろう。8回。2-10と大量リードを許していたが、ソフトバンクの主軸コンビは手を抜いてなかった。柳田がバックスクリーンへソロをたたき込むと、バレンティンも左翼席中段への特大ソロで続いた。今季の看板大砲コンビ「YB砲」が対外試合初のアベックアーチを2者連続でやってみせた。推定飛距離は柳田130メートル、バレンティン125メートル。合わせて「255メートル」に現役時代に西武、巨人打線を経験した工藤監督もビックリ。「巨人でも松井くん、清原くんがいたけど、うちの2人は飛距離は断トツですよ」と目尻を下げた。

柳田は2発を放った前日10日から2戦連発。再開後の練習試合9試合で5発と超量産モードに入った。オリックス荒西の141キロ直球をフルスイング。あっという間にバックスクリーンで弾んだ。そのパワーにネクストバッターズサークルで刺激を受けたのはバレンティンだった。対外試合では3月22日のロッテ戦以来、3カ月近いブランクを経ての1発。「(前に)最強打者がいるので、自分も続けていこうという気持ちになる」。再開後の練習試合は8試合で2安打だったが、4回に4試合ぶりの安打を放ち「これまで自分の結果は納得していないところもあった。ここ何日かで課題に取り組んで、本来のフォームに戻った。リラックスして打席に入れた」と気分を良くしていた。柳田も「公式戦が始まってもココさん(バレンティン)とアベック弾がたくさん打てればいいですね」と胸を張った。

柳田が一塁側ベンチに戻ってから、両手の人さし指と親指だけを伸ばすパフォーマンスを見せれば、バレンティンは両手首を顔の横でくるくるひねる今季のパフォーマンス「ピーポーピーポー」をしっかり披露。目の前にファンはいなくとも、テレビの向こうのファンにしっかりエンジン全開を見せつけた。

この日に九州北部の梅雨入りが発表されたが、今季の打線の売りでもある左右の大砲コンビのバットは湿ることはない。【浦田由紀夫】