阪神矢野監督が4戦目での今季初勝利の味をかみしめた。選手の、コーチの笑顔が視界に入る。「うれしいよね。苦しんだ分、もちろんね、これで良かったということはまだないんで、こっからスタートにできる勝ちにしてくれた」。連敗を3で止め、ヤクルトと1勝3敗で並び、単独最下位からも脱出。苦しんだ分、喜びも大きかった。

思い切って動いた。7回。先発青柳が先頭青木に死球を与えたところで交代を決断。2番手岩崎を送り出した。青柳は6回まで被安打1。だが、交代の場面は村上、山崎、雄平といずれも昨年相性が悪かった打者(19年の対戦打率は村上4割1分7厘、山崎5割5分6厘、雄平3割7分5厘)が続いていた。

19日の開幕戦で負け投手となった岩崎が期待に応え、後続斬り。8回はスアレスが0封。9回は藤川が1失点したが、しっかりと勝利の方程式で勝ちきった。指揮官は「優も開幕で悔しい結果になったけど、マウンドに上がるまではなかなかすっきりしなかったやろうけど、今日、あの場面からいってきっちりやってくれた。スアちゃん、球児とウチの勝ちパターンでいけた。いい勝ち方やったと思います」とうなずいた。

打線も今季初めて2ケタ安打を記録するなど状態は上向きつつある。指揮官にとっては、感慨深い一戦になっただろう。試合後には選手からウイニングボールが届けられた。20年の虎の戦いが、本当の意味で幕を開けた。【松井周治】