矢野阪神の必死の継投も実らなかった。同点に追いついた直後の7回表。ベンチは2番手に伊藤和を送り出した。首脳陣が「勝利の方程式」を模索する中で、その一角入りの期待もかける右腕。直前の6回に同点に追いつき、流れを引き戻しただけに、ヤクルトの攻撃を抑え込みたかったが、思惑通りにはいかなかった。

伊藤和は2安打と1四球で1死満塁として、村上を迎えたところで交代。その後、6月30日以来の登板となった3番手能見が、村上に2点勝ち越しを許す中前打を浴びた。矢野監督は「難しいところやねんけど、和雄で何とか頑張ってくれたらというのはあった。あの打たれ方と、ちょっと(荒木への)四球がもったいなかった。最後、能見に託したんやけど」と振り返った。

7回にボーアの本塁打が出ていた。1点差のまま9回の攻撃を迎えれば…。だが、9回表も誤算だった。2死一、二塁。この回からマウンドに上がっていた馬場は、エスコバーにカウント2-2から左前適時打を打たれるなど3失点。突き放されてしまった。

矢野監督 うちも粘っていかないと上に行くのは難しくなる。勝ちパターンで勝っていくことは大事なんだけど、競ってる試合で追いついたり、1点負けている最後の馬場もあと1球というところで。粘れる中継ぎ陣というか。現状と課題としては、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形にはなっていくのにつながると思う。

指揮官の言葉通り、逃げ切り勝利を重ねるだけでなく、僅差のビハインドや同点の場面から勝利をもぎ取ることが、浮上へのカギとなる。【松井周治】