21世紀生まれ第1号! オリックス太田椋内野手(19)が16日、今季初昇格し「9番三塁」で即スタメン起用。3回の第1打席にプロ初安打&プロ初本塁打となる同点弾だ。球団では17年杉本以来のプロ初安打が本塁打。NPBでは21世紀生まれ初の本塁打となった。打線はこの回一気に逆転し、本拠地で勝てなかったソフトバンク・バンデンハークに初黒星をつけた。記念球は、チームの打撃投手を務める父・暁さん(49)にプレゼント。オフには父を練習パートナーとして、打撃力アップに二人三脚で取り組んだ。毎朝欠かさなかった「親子トレ」の成果が出た。

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思い切って狙った。1点を追う3回、神経を研ぎ澄ませてフルスイング。好感触が残ったが、太田は夢中で駆けだした。

「真っすぐ1本の気持ちでいきました。(今季)ファーストスイング、思い切りいこうと。まさか入るとは思わなかったので、全力で走ってました」

打球はバックスクリーン右に着弾。走りながら「よっしゃー! 」とほえた。プロ初安打が貴重な同点本塁打。同じ18年ドラフト1位の中日根尾やロッテ藤原より先に1発を放った。打線を勢いづけ、4点を奪う逆転の口火となった。

新人だった昨季は、シーズン終盤に1軍昇格。21世紀生まれの野手としては出場第1号だったが、6試合16打席で無安打。「なかなか1本が出ず、昨年の最後に悔しい思いをしていたので…。(今季初出場の)今日、打ててよかったです」。人生初のお立ち台では記念球を持ってニッコリだ。「冬のオフも、ずっと投げてくれていたので…。お父さんに渡したいと思います! 」。チームで打撃投手を務める父・暁さん(49)に感謝のひと振りだった。

父は、理解ある「練習パートナー」だ。「バットの振り方、グラブの出し方…ほとんど全てですね」と息子は振り返る。大阪・舞洲の室内で、父のボールを打ち込んだ。守備練習ではノックも打ってもらう。共に行動するが、父は不必要な助言はしない。大きく育つため「自分の感覚を大切にしてほしい」からだ。

7回にも安打を放ち、今季初出場で同点ソロを含む2安打。太田は「これに満足せず、明日からもしっかりやっていきたい」と次を見据える。西村監督は「ほんとに素晴らしい打撃でした。あそこ(3回)で勢いがついて4点。大きいですよね」と褒めた。「こういう形で活躍したら使うしかない」と17日も先発出場させることを示唆した。

新人だった昨季、教育リーグのソフトバンク戦で千賀から右腕に死球を受け、右尺骨骨幹部を骨折。約3カ月間、離脱した。そんな苦しい思いを経て、大器が第1歩をしるした。【真柴健】

▼高卒2年目の太田がプロ初本塁打。太田は01年2月14日生まれの19歳5カ月。21世紀生まれの選手では今月12日に石川昂(中日)がヒットを打っているが、本塁打を打ったのは太田が初めてだ。また、ドラフト制後、10代で本塁打を打ったオリックスの選手は、88年中嶋聡(2本)93年鈴木一朗、19年西浦颯大に次いで4人目。

<18年ドラ1近況>

広島小園 昨季は58試合に出場し4本塁打も、今季は1軍未出場

ヤクルト清水 今季は開幕戦から登板。勝ちパターンに欠かせないリリーフに巨人高橋 昨季は18試合に先発し5勝も左肘痛からの復活へ奮闘中

DeNA上茶谷 昨季は7勝も、今季は直前の右肘炎症で開幕ローテ逃す

中日根尾 昨季は2打席2三振。今季ファームでは打撃好調を維持

阪神近本 36盗塁でタイトルを獲得して迎えた2年目は打撃面で苦闘中

西武松本 肺炎で開幕2軍の昨季は16戦先発で7勝。今季は開幕ローテ入り

ソフトバンク甲斐野 日本一に貢献し、侍ジャパンに選出も右肘靱帯損傷

日本ハム吉田輝 昨季は初登板初勝利も1勝のみ。今季は1軍未登板

オリックス太田 16日に今季1軍初昇格でプロ初安打初本塁打

ロッテ藤原 昨季開幕1番でスタメンも6試合で2軍へ。その後1軍未昇格

楽天辰己 昨季124試合に出場。今季も9番中堅で定位置をつかみつつある