就任1年目の楽天三木肇監督(43)が好スタートを切った。19日、西武5回戦(楽天生命パーク)を内田の決勝満塁弾などで今季4度目の逆転勝利。2カードぶりの勝ち越しを決めた。

当初の予定から約3カ月遅れで始まった変則シーズンも開幕からちょうど1カ月。全5カード、26試合を終え2位ソフトバンクに1差で首位に立つ。選手、コーチ、スタッフらを信頼し、チームとともに指揮官も成長曲線を描いている。

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勝利をつかみとったナインを、ベンチ前にできた列の最後尾で出迎えた。リーグ連覇中の王者に最大4点差からの逆転劇。「最後まで諦めずにみんなで何ができるかなと。選手たちがその気持ちでやってくれて結果としてこうなれたことに感謝ですね。本当にありがとうございます」。少々呼吸を乱しながら興奮気味に選手たちへ思いを込めた。

開幕から1カ月がたった。26試合を終え首位。チーム得点(155)は12球団トップ。同打率(2割7分7厘)、防御率(3・50)はそれぞれリーグトップと投打がかみ合う。三木監督は「周りのサポートのおかげで、いいスタートが切れた」と手応えを示す。

戦う集団への意識改革にもステップを踏んでいる。春季キャンプ初日を控えた1月31日。全体ミーティングで「このチームはすごく仲がいい。チームワークがすごい。ただ、仲良しだけじゃダメかなというところもある」と口にした。それから約半年。指揮官は現在地を分析する。

三木監督 いい時はがーっといけるけど、劣勢になるとみんなで一緒になって、元気がなくなることがある。そこは改善しないとダメ。苦しい時、うまくいかない時にはね返せる力、ミスをエネルギーに変えられる方法などを踏まえてやっていかないと。ただ、みんなが意識してくれて、そういう面でも少しずつ改善できている。そんな簡単なことでもない。

守備時に腰を据え、攻撃時は立ち上がる。ベンチ内でチームの空気を感じる。「1つの起点が渡辺直人。選手、コーチのパイプとして動いてくれている。(鈴木)大地も苦しい時でもしっかり前を向いて、声を出してチームを鼓舞(こぶ)している。キャプテンの茂木もしっかりやってくれている」とチームの成長への道しるべも見えてきた。

この日で他5球団との戦いを一回り。「野球はそんなに甘くない。今いる位置は頭に入れていない。毎試合何ができるか、選手とどうやって頑張っていけるかを考えて進んでいきたい」。21日オリックス戦(楽天生命パーク)から、再び戦いに挑む。【桑原幹久】