日本ハムはソフトバンク7回戦(ペイペイドーム)で逆転勝利し、今季初めてカード初戦を制した。

3試合ぶりに2番でスタメン出場した大田泰示外野手(30)が今季2度目の3安打と固め打ち。同点とした直後の7回2死二塁では、左前打でつないで近藤健介外野手(26)の決勝打をアシストした。強打の2番が本領発揮で難攻不落の千賀攻略をけん引して、チームは1カ月ぶりに連勝だ。

   ◇   ◇   ◇

ここ一番の集中力と持ち前の積極性で、絶対エースをマウンドから引きずり降ろした。同点とした直後の7回2死二塁。大田が千賀の初球に、食らい付いた。外角へ逃げていく143キロのカットボールを左前へ運んだ。「1打席1打席、自分のやるべきことを全力でやろうと臨んだ結果だと思います」。一、三塁と好機を広げ、18年8月から19年にかけて6戦6勝を献上していた苦手の右腕を降板させた。

栗山監督の期待に、やっと応えた。3試合ぶりに戻った“定位置”の2番打者。指揮官の意図は「あんだけ強いピッチャーには、強くバットが振れないと勝負にならないわけだから」と明確だった。千賀攻略のキーマンとして指名され、初回は直球をたたいて中堅フェンス直撃の二塁打。3回1死一、二塁でも直球を右前にはじき返した。難敵にボディーブローを打ち続けてKO。最後は同点打の西川や、嘉弥真から決勝打を放った近藤と束になって千賀に黒星を付けた。

試合後の栗山監督は、打線の中で大田の名前を真っ先に挙げた。「タイシもね、これできっかけをつかんでくれたことが、ありがたい」。結果が出ずにもがいていた背番号5を、一番心配していたのが栗山監督だ。日本球界屈指の投手を相手に、スタメン復帰させたのも親心。「結果が欲しくて小さくなってほしくないと思っている。メッセージとかっていうのは、そういう風に伝えていってあげるしかない。オレが一番待っているわけだから」と背中を押し、会心の結果が待っていた。

大田の猛打賞は開幕3戦目の6月21日西武戦(メットライフドーム)以来、今季2度目となった。チームも、その時以来となる1カ月ぶりの連勝だ。大田は「自分にプレッシャーをかけすぎて空回りしていたので、今日は力みすぎず、自分の役割を全うしようと思っていました」と振り返った。投手陣が粘り、千賀を打ち崩して奪った、今季6カード目で初めての初戦勝利。チームも大田も、大きな波に乗る、起点としたい。【木下大輔】