巨人猛追へ、手痛いアクシデントが発生した。セットアッパーの阪神岩崎優投手(29)が25日、左肘の張りで出場選手登録を抹消された。

リリーフ陣の故障が相次ぐ今季、安定感を発揮していた「8回の男」の離脱は大きな痛手で、勝利の方程式の再々編は避けられない。当面は馬場、藤川、スアレスを軸に、能見、伊藤和、ガンケルらも交えた総動員でしのぐしかない。最下位中日に完封負けし、勝率5割に戻った矢野阪神に新たな試練が訪れた。

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阪神の中継ぎ陣にまた不測の事態が起きた。この日、岩崎が左肘の張りで出場選手登録を抹消された。ここまで15試合に登板して2勝1敗、6ホールド。前日24日の中日戦で8回に登板し、1回無安打無失点に抑えたばかりだった。直近は5試合連続無失点で「8回の男」として安定投球を継続。球団は大事を取っての措置と説明したが、首位巨人を猛追態勢に入った中での離脱はあまりにも痛い。

今季は中継ぎ陣の離脱が相次ぐ。開幕直後の6月25日には昨季57試合に登板した守屋が、右肩痛で抹消。翌26日には、ポストジョンソンを期待されたエドワーズが右肩のコンディション不良で抹消された。現在も2軍調整中で実戦復帰のメドが立たない状況だ。今月12日には、不調だった守護神藤川が右肩のコンディション不良で離脱。その後はスアレスが代役を務めているが、昨年防御率2・78の安定感を誇った救援陣が今年は同4・83まで下降。勝利の方程式が何度もぐらついていた。

ようやく7回から馬場、岩崎、スアレスの形が定まってきた矢先だったが、勝利の方程式の再々編は避けられない。藤川は23日の広島戦で1回0封復帰したが、矢野監督は「抑えで使いたいし、その気持ちはあるけど、全体のこともあるんで。それは状況を見てやっていきます」と慎重に言葉を選んでいた。6月30日から1軍合流した馬場は、勝ち試合の7回登板も増え、4ホールドをマーク。当面は馬場、藤川からスアレスにつなぐ形が見込まれる。

この日の中日戦は、先発西勇が7回8安打1失点と粘投したが4安打で完封負け。数少ない明るい材料はガンケルだ。この日1軍に再合流して初の中継ぎで8回に登板。3番阿部から始まる中軸を6球で3者凡退に抑えた。矢野監督も「もちろん、申し分ない。(岩崎)スグルもいない中で1人でも2人でも出てきてくれれば」と期待は大きい。経験豊富な能見や伊藤和らに加え、ガンケルも岩崎の穴を埋めるピースになりそうだ。首位巨人に追いつくためにも、接戦をものにすることが不可欠。非常事態はブルペン総動員で乗り越えるしかない。【磯綾乃】