あぁ打ち疲れ? 前夜今季最多の20得点で大勝した阪神が初回の1点だけで沈黙し、約1年ぶりの2位浮上を逃した。前日はボーアとサンズが2本の満塁弾を放ったが、満塁4打席で1人も走者をかえせず、9四球をもらいながら今季最多の13残塁。阪神が20得点以上挙げた翌日は2勝後4連敗で、お疲れデータが顕著だ。今日30日は藤浪が670日ぶりの勝利をかけて先発。ひと休みした打線の大量援護に、乞うご期待だ。

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猛打の虎が、貧打の虎に一変した。阪神が今季8度目の逆転負けで2位浮上を逃した。ヤクルト先発原らに対して1回の3安打以降はわずか2安打。計9四球と苦しむヤクルト投手陣をとらえ切れず、1得点にとどまった。前夜18安打20得点と大爆発した打線は、今季ワーストの13残塁。あと1本が出なかった。矢野監督も「そこに尽きるんじゃない。昨日のね。まあ、逆というか。1本が出ないというのが今日の敗因」と指摘した。

満塁天国だった神宮の杜が、満塁地獄になった。1回だ。1死一、三塁から4番大山の遊撃内野安打で幸先よく1点を先制した。さあ、前夜の続きで今夜は何点取るんだろう。だがそんな期待は夢と消えた。

5番ボーアの右前打で1死満塁と好機を広げたが、梅野と木浪がまさかの2者連続で空振り三振。6回にも1死満塁から左腕長谷川を相手に近本が左飛、続く糸井が直球を空振り三振。合計4度の満塁打席をことごとくつぶした。前日28日はボーア&サンズが新助っ人NPB史上初のアベック満弾をマーク。満塁機の決定力不足が明暗を分けた。

終わってみればスミ1負け。井上打撃コーチは「最初に大チャンスをもらった時に1点しか取れなかったというところを引きずってしまった」と、初回の満塁機をつぶしたことが尾を引いたと分析した。大勝翌日ゲームの難しさについては「みんな意識していたとは思わない」と話したが、要所でギアを上げた先発原を捉えきれず、積極的な打撃も空回りしてしまった。

阪神が20得点以上を挙げた次の試合は、これで2勝4連敗。どうしても“打ち疲れ”という言葉がクローズアップされる。矢野監督は「引きずって野球をやることはない。(30日先発の)晋太郎も2回目になるんかな。気持ち良く向かっていってくれたらと思います」と切り替えを強調した。巨人が敗れ、首位に3・5ゲーム差に詰め寄るチャンスだったが、4・5差は変わらず。30日ヤクルト戦に敗れれば、8カードぶりとなるカード負け越しが決まる。休んだ分、もう“打ち疲れ”はないはずだ。【桝井聡】

<阪神20得点以上の試合と翌日の結果>

◆1937年(昭12)7月7、8日名古屋戦(西宮)7日は4番の景浦将が、1本塁打4安打7打点の大暴れ。「2番投手」で先発の藤村富美男も自ら2打点。8日は1番松木謙治郎が1安打1盗塁でチームを乗せ、先発の若林忠志が1失点完投で連勝した。

◆05年9月10、11日 広島戦 10日は序盤から得点を重ね、3回矢野輝弘の3ランで優位に。金本知憲、シーツも本塁打し21得点。翌11日も初回から金本の2点二塁打など、打者一巡の猛攻でいきなり5点。先発杉山直久が完封勝ち。2試合続けての圧勝を収めた。

◆10年8月25、26日広島戦 25日は7回に金本が逆転満塁本塁打。8回には代打で出た桧山進次郎が、この回2度目の打席で3ラン。球団史上最多の22得点を挙げた。翌26日は3回マートンの中前打による1点だけ。先発下柳剛以下が、要所で失点を重ね敗れた。

◆14年8月5、6日ヤクルト戦 5日は1回に新井貴浩が満塁本塁打。3回には鳥谷敬とマートン、5回にはゴメスが本塁打。翌6日は先発の岩田稔が6回途中7失点と乱れ劣勢に立たされる。9回に今成亮太の二塁打などで追い上げたが、1点及ばなかった。

◆18年9月16日、17日DeNA戦 16日は大山悠輔が6安打3本塁打と大当たり。先発の藤浪晋太郎も満塁本塁打と、記録的な試合になった。翌17日も大山が1回に先制弾を放ったが、先発の岡本洋介らが踏ん張れず。最後はドリスがソトにサヨナラ被弾した。