東京オリンピック(五輪)の中軸を担う面々が、持ち味をいかんなく発揮する本塁打を放った。

広島鈴木誠也外野手(25)楽天浅村栄斗内野手(29)ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)ヤクルト村上宗隆内野手(20)。それぞれが試合の潮目でアーチをかけ、チームを勝利に導いた。20年7月29日は、福島あづま球場で野球競技の初戦が行われていた日。日本球界最高峰に君臨するバットマンたちが、1年後も暴れる。

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ヤクルトの4番村上が、極上の逆転5号2ランを放った。1点を追う4回無死二塁、カウント1-2から阪神の先発ガルシアの155キロ直球を振り抜くと、打球はライナーで左翼スタンドへ。

追い込まれ「自分のスイングをしよう」と思考を変え、逆方向への鮮やかな1発。決勝弾となり「逆転できたことは良かった」と話した。

前日は5-20で大敗。高津監督からは「1つでも先の塁、1点でも多く、自信をもって、しっかりグラウンドに立とう」と話があった。悔しさ、ファンへの申し訳ないという気持ちを胸に、22日DeNA戦(横浜)以来6試合ぶりの本塁打。「昨日は昨日で、しっかり切り替えて。勝ちは明日にいいものをもたらしてくれる。勢いに乗りたい」と若き主砲は頼もしかった。

◆侍ジャパンの中軸 今年、予定通り東京五輪が行われていれば3番柳田、4番鈴木、5番浅村の並びは最有力候補だった。稲葉監督の戦力構想の根底には、昨秋に優勝したプレミア12のメンバーがある。鈴木は4番でMVPに輝く大車輪の働きを見せ、信頼感は絶大。浅村も5番で勝負強さを発揮した。プレミア12は不在だった柳田は、18年の日米野球では4番として機能したが、機動力もあり、3番は座りがいい。秋山のメジャー移籍で1番の候補には坂本が挙がる。1点勝負の国際大会で2番はつなぎ役を重視して菊池涼と考えればバランス的にも3番には左打者が欲しい。柳田が適任になる。稲葉ジャパンの常連ではないが岡本、村上も、逆転五輪代表入りから一気に中軸も目指せる成長速度。出塁率の高い近藤も選択肢に入りそうだ。