ウルトラ弾や! 阪神梅野隆太郎捕手(29)が甲子園通算7本目にして初の逆方向となる先制3号3ランを放った。4回2死一、二塁でDeNAの上茶谷の外角132キロカットボールを右中間へ。右翼から左翼に吹く浜風を切り裂くアーチは、7月29日ヤクルト戦の1回以来、チーム21イニングぶりの得点。0行進に終止符を打ち、力投していた青柳を援護した。

今年も「ウル虎の夏」が始まった。ナインはチームカラーのイエローが基調で、ダイヤをちりばめたデザインのユニホームをまとった。沖縄・宜野座キャンプイン前日の1月31日、梅野はエースの西勇とともに行ったユニホームお披露目でこう言った。「すべてをいいきっかけにできるユニホームにしたい」。昨年の同イベント期間、梅野は6試合で18打数6安打、打率3割3分3厘と好相性。今年も“ウルトラバット”で盛り上げていきそうだ。

左腕には青いリストバンドがあった。開幕を迎えられたことに対し、医療、介護従事者に感謝の意を示す意味で7月中旬から多くの選手がつけている。「感謝とかいろんな意味でこれをつけている。少しでもテレビの人にも伝わればと自分なりにした」。野球ができる環境を整えてくれた人々にささげるアーチでもあった。

8回の第4打席では右前へ運んで、今季9度目のマルチ安打。打率はリーグ2位の3割4分3厘にまで浮上した。マスクをかぶってはワンバウンドするボールを何度も全身で受け止め、攻守で存在感を出した。試合前に近畿地方の梅雨明けが発表された。ようやく本番を迎える夏にぴったりな、今回のユニホームには「勝って笑ってダイヤのように光り続けるように」という願いが込められている。8月。熱い選手会長が引っ張り、ファンを、チームをキラキラの笑顔でいっぱいにしていく。【只松憲】