日本ハム杉浦稔大投手(28)が、自己最多タイの4勝目を挙げた。7日西武7回戦(札幌ドーム)に先発して7回1安打無失点と好投。チームを6月23日以来の勝率5割に押し上げた。ヤクルトからトレード移籍3年目、先発ローテーションの柱の1人として存在感を示し始めた。

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無我夢中だった。7回2死満塁。杉浦が、最大のヤマ場を迎えた。3つの四球で塁を埋め、代打メヒア。今季最多4900人の観衆が、息をのむ。「なんでもいいから抑えよう」。初球。この日最速149キロを計測すると、拍手が沸いた。一発逆転のピンチでフォーク、スライダーと低めの変化球に泳ぐ打者に、勝負球を決めた。5球目。フォーク131キロで空振り三振に抑えると、大きな拍手が注がれた。

先制点を死守した。相手先発は、昨季から味方打線が打ちあぐねていたニール。「我慢比べというか、先に点が入ったほうが有利になる」と、1点が試合を左右することを自覚していた。7回1安打無失点、6奪三振。プロ6年目の右腕は、今季6度目の登板で昨年記録したシーズン最多の4勝に並んだ。栗山監督は「本当に素晴らしかったです。状態がいいよね、すごく」と褒めちぎった。

3試合連続で球数100球超え。長年、悩まされてきた右肩と右肘痛が完治した事を示している。昨季は登板間隔を十分に空けてもらっていたが、今年は先発ローテーションの一角を担う。「体調は問題なく出来ています」。

慎重に完治を目指した時期には、子どもを抱っこすると肘や腰に負担がかかるとトレーナーから注意されることもあった。だが、昨オフは例年以上の投げ込みを敢行。わが子を支える右腕は、次第に強くなった。今は周囲から不安視される事もなく、抱っこ出来るようになった。「万全の証です。(育児時間は)妻の普段の、半分の半分の半分なので」と元モーニング娘。の紺野あさ美さん(33)に感謝しながら、精力的に育児をサポートしてきた。

チームは勝率5割復帰。「先発としての役割を果たせているのでは、やっと自分の仕事が出来ているなという感じがします。1年間、続けることが大事だと思う」。上位争いに食い込むため、力強さが増した右腕を振り続ける。【田中彩友美】

日本ハム宇佐見(杉浦を好リード)「(7回は)初球の真っすぐは、今日1番じゃないかというくらいのいい真っすぐだった。全体的にカウント有利に進めましたし、ゾーンの中で変化球もストレートも勝負できたのが良かったのではと思います」