右腕はぼうぜんとマウンドに立っていた。阪神青柳晃洋投手(26)は、笑うことも、悔しそうな表情を浮かべることもなかった。

3回10安打、自己ワーストタイの6失点で2敗目を喫し「実力不足かなと」と短い言葉に胸中を押し込めた。

1回は先頭の西川を四球で出し、2死二塁で4番松山からの3連打で2失点。2回は1死一、三塁で1軍デビュー戦の羽月にセーフティースクイズ(記録は投安)を決められ、2死から松山に3ランを浴びた。試合前まで対左の被打率は1割8分だったが、先発野手8人中、6人並んだ左打者に8安打された。

9連戦の4試合目。「中継ぎ陣に負担をかけないように」と挑んだが、4回から継投を余儀なくさせてしまった。試合前までチームトップだった防御率2・23の安定感は霧消。「良いコースにはいっていた。でも結果がすべてだと思います」。右腕は悔しさをこらえてバスに乗り込んだ。

9勝9敗だった昨季は四球から自滅するパターンが多かった。「課題は無駄なフォアボールとフォアボールの出し方。(打順)8、9番に対して本当に際どいボールがいるのか」。しかし、この日はボール先行からストライクを取りにいった甘い球を痛打された。ここまでチーム最多4勝を挙げ「投げる試合は全部勝ちたい」と語ってきた青柳が、課題としてきた部分で苦しみ、3回で81球も費やした。

勝ち頭でまさかの誤算。

矢野監督は「ちゃんとレベルを上げていってくれるような登板をしてくれたらいい。次回どうするか」と奮起を促した。今季最短KOとなったが、リベンジの舞台はまだたくさんある。【只松憲】