JR西日本は28日、兵庫・報徳学園高のエースとして甲子園をわかせた元ソフトバンクの投手で、現在はJR西で車掌を務めている社員の近田怜王さん(30)が、9月から京都大野球部に出向することを明かした。身分は「JR西日本社員」のまま、京大野球部で助監督に就くという。

近田さんは、17年からボランティアで京大野球部でコーチとして指導に当たっていた。このほど、京大野球部側から「出向」のオファーがあったといい、JR西の広報担当は「技能を生かして地域貢献してもらえる。企業理念にも合致しており、要請を受け入れました」と語った。

出向の期限はない。同社ではこれまで、直接業務と関係ない業種への「出向」といった形式は「そう記憶にない」と話しており、異例の対処のようだ。

近田さんは報徳学園1年時、06年秋季近畿大会で中田翔(日ハム)がいた大阪桐蔭を破って優勝。一躍注目を集め、甲子園は春夏3度出場した。08年オフ、ソフトバンクからドラフト3位指名され、入団。12年限りで退団した。

JR西へは13年に入社。社会人野球でプレーした。入社当初は広島支社に配属され、駅で勤務。その後、近畿統括へ移り、兵庫・三ノ宮駅などでの勤務を経て、現在は京阪神路線で車掌を務めてきた。

京大野球部では、17年からボランティアでコーチとして指導に当たっており、この活動が「地域貢献活動」として認められた。京大野球部は、昨年の秋季リーグで6大学中これまでで最高の4位。より一層の躍進へ期待が高まっている。