東日本国際大(福島)のプロ志望2人が、攻守でチームを引っ張り、好発進を導いた。「3番中堅」斎田海斗外野手(4年=仙台育英)が初回の先制打を含む2安打1打点。エース左腕・佐々木大輔投手(4年=山村学園)も7回2安打10奪三振完封で、日大工学部(福島)を7回コールド7-0と圧倒した。

   ◇   ◇   ◇

ドラフト候補が格の違いを見せつけた。エースが投げて、主軸が打つ。昨春まで4季連続リーグ制覇の東日本国際大にとって理想の形。斎田が1回裏に中前先制打で仲間の緊張感を和らげた。7回先頭でも中前打を放って一挙6得点の起点にもなり「自分も試合で初めて緊張した。朝ご飯も食べられなかった。先制打は必死に食らい付きました」と苦笑い。栄養補給のゼリーだけを口にし、外角変化球をバットの先で運ぶ、4年生の意地を見せた。

プロ入りした仙台育英時代の先輩たちの活躍にも刺激を受けている。特に1学年上で高校で同部屋だった中日ドラフト4位郡司裕也捕手(22=慶大)が、8月に入って先発マスクをかぶり、不調だったチームを上向かせた姿に心を打たれた。「昨日(28日)もテレビをつけたら、郡司さんがプレーしていた。人として尊敬しているし、同じ舞台で一緒に戦うことがモチベーションです」。技術的にも高校で指導を受けた恩師・佐々木順一朗監督(60=現学法石川監督)の言葉を思い出し、好調を維持している。「『バットは傘のように持ちなさい』と教えていただいたことを再確認しています。脱力しながら打てています」。心は熱く、体はリラックスして、チームの勝利を最優先する。

佐々木大は豪快な投球フォームが復活した。軸足に体重をしっかり乗せて、右足を高く。昨年は背中の肉離れなどもあって封印していたが「ダイナミックさは、ある意味で変則でもある。フォームで相手をびびらせるくらいの気持ちです」。2者連続奪三振でスタートし、1死球2安打のみで10奪三振。一塁走者をけん制で刺す技術も披露した。

コロナ禍の影響で春季リーグは中止。秋に残った4年生は2人だけだ。佐々木大は「みんなも激励の連絡をくれている。去年の秋は2位だったので、仲間の思いも背負って絶対1位をとって、日本一を目指したい」。投打の飛車角が、王座奪還を勢いづける。【鎌田直秀】