大学、社会人野球のドラフト候補が、待ち焦がれた公式戦で道を切り開く。北海高出身のNTT西日本・辻本勇樹捕手(24)は9月1日開幕の都市対抗近畿2次予選に臨む。コロナ禍で春の大会が中止になり、残されたアピールの場で結果を出す。

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辻本が全力でプロへの道を切り開く。ドラフト解禁となる社会人2年目。武器は二塁送球1・9秒台前半の強肩と、プロでも上位レベルの一塁到達3秒台という俊足だ。2日の都市対抗近畿2次予選初戦NOMOベースボールクラブ戦に向け「肩と足は自信がある。打撃も得意なので、そういう面も発揮したい」と走攻守での活躍を思い描いた。

仙台大では、仙台6大学リーグで4度、ベストナインに輝き、4年秋は10盗塁も記録。卒業後は「社会人で、もっと捕手の勉強がしたい」とNTT西日本入りした。昨年、1年目で正捕手の座を勝ち取り、都市対抗、日本選手権の2大大会で8強進出に貢献し、ドラフト候補に名を連ねた。同時に北海時代の同期、西武戸川大輔外野手(24)らが1軍デビューしており「自分もプロでやりたいという気持ちが日増しに高まっていった」と刺激を受けた。

昨年12月のウインターリーグ(台湾)では社会人日本選抜の正捕手としてNPBの若手や台湾、韓国のプロ選手と対戦し、優勝に導いた。「いろいろな打者と対戦し、配球面など引き出しが増えた」と国際舞台での経験も生かしていく。

高3の夏は、戸川らを擁し優勝候補と期待されながら、札幌地区1回戦で札幌南に敗れた。「野球は個でなくチームで勝つものと知った」。捕手として成長した姿を示し、夢の扉をこじ開ける。【永野高輔】