勝利を呼ぶサウスポーや! 阪神岩貞祐太投手(28)が、3球で5勝目をつかんだ。「やっぱりチーム1つになって、この1勝をつかみ取ることの大変さを、中継ぎに入ってより感じています」。ブルペン総力戦でつかみ取った1勝をかみしめた。

緊急登板にも動じなかった。7回2死二、三塁で能見が勝ち越しを許し、さらに打球処理の間に負傷し降板。球場に重い空気が漂った。なおも2死一、三塁。マウンドに上がった岩貞は、ヤクルト青木の内角へ勢いよく直球を投げた。「自分の中で一番いいボールを選択して、投げるというところだけを考えて投げました」。3球目の143キロ直球で二ゴロにうち取り、非常事態を切り抜けると、その裏にマクガフの珍プレーで逆転に成功。勝利を呼び込むリリーフだった。

ラッキー・サダだ。矢野監督も「あそこは1人でもすごく価値のあるところ。結果的にラッキーボーイになってくれている」と喜んだ。8月29日広島戦(マツダスタジアム)から岩貞が登板した試合は4連勝。自身もここ4試合で3勝1ホールドを挙げている。「先発している時より勝ってしまっているので、ちょっと複雑な気持ちがあります」とお立ち台では素直な気持ちをもらしたが、ブルペンでの存在感は日を追うごとに増す。8月中旬に中継ぎに配置転換されてから、10試合に登板し被安打3、2失点。防御率1・93は安定感抜群の成績だ。

いよいよ首位巨人との4連戦。岩貞は「絶対に勝たないといけない4つだと思う」と力を込めた。1日には引退会見を終えた藤川が、甲子園でチームにゲキを飛ばした。永遠のライバル、巨人に抱いてきた並々ならぬ思い。その藤川の魂は岩貞にもしっかり受け継がれている。「明日から巨人戦ということで、球児さんが言っていましたけど、『巨人を倒して』ということだと思うんで、また準備してやっていきたいと思います」。お立ち台で力強く宣言すると、ファンは大きな拍手で応えた。伝統の一戦でも、ラッキー・サダがみんなを幸せにする。【磯綾乃】