白星引き寄せたばい! 福岡・糟屋郡出身の楽天寺岡寛治投手(27)が敵地ペイペイドームでのソフトバンク戦に2番手で登板し、1回無失点。2試合連続で7回を任され、2死三塁のピンチを招くも代打デスパイネを真っ向勝負でねじ伏せた。

持ち前の度胸の強さを発揮し、8試合連続無失点。勝利の方程式の一角をつかみつつある。独立リーグ、育成契約も経験した苦労人右腕が、地元で錦を飾った。チームは2連勝。球団通算1000勝へ、あと1勝とした。

   ◇   ◇   ◇

九州男児の血が騒いだ。1点を勝ち越した直後の7回2死三塁。寺岡はマウンドに足を運んだ伊藤智仁投手チーフコーチから「どんどん勝負しにいっていいから」と尻をたたかれた。対するは怪力自慢の代打デスパイネ。四球で次打者との対戦か、との考えが脳裏をよぎっていたが、いい意味で裏切られた。「そりゃ、いくしかないでしょ、と思いました」。カウント1-1から真ん中へ133キロのスライダーを果敢に投げ込み右飛。大物を食った。

度胸は重ねた苦労に裏付けされる。母幸子さんに女手ひとつでたくましく育てられた。東海大五(現東海大福岡)時代は最速149キロを誇るも右肘を疲労骨折。九州共立大を経て、九州三菱自動車では外野手で入社も、途中から投手との二刀流に挑戦。2年で退社後にBC石川へ飛び込み、17年ドラフト7位でプロの扉を開けた。入団会見では「毛の生えた心臓なので、体の大きい打者のインコースを突いていきたい」と宣言。1年目オフに育成契約となったが、昨季は2軍で51試合に登板。昨年7月に支配下へ返り咲いた。

昨季2軍監督を務めた三木肇監督も素質を高く評価する。「テラは強い球も放れる。ファームで投球を重ねる度に気持ちも強くなってきた」。右腕は今季7月22日に1軍初昇格。ファームから再び9月に再昇格した。13日日本ハム戦では3点リードの4回1死二、三塁から救援登板。中田、渡辺と強打者を打ち取り、プロ初勝利をつかんだ。

故郷に錦を飾った。地元福岡では前日19日に続き2試合連続無失点。幼少期はホークスのエース斉藤に憧れ、正捕手城島のTシャツも買ってもらい、よく足を運んだ球場で躍動した。「自分の頑張っている姿を福岡で見せられてよかった。チームにいい流れを持ってこられるような中継ぎになりたいです」。おとこ気あふれる右腕の存在感が増してきた。【桑原幹久】