阪神で選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明する緊急事態が起きた。2軍で浜地真澄投手(22)の感染が24日夜に確認され、1、2軍首脳陣と選手、スタッフら全員のPCR検査を実施。25日に糸原健斗内野手(27)陽川尚将内野手(29)岩貞祐太投手(29)馬場皐輔投手(25)の1軍4選手、同スタッフ2人の感染が判明し、浜地とスタッフ2人は入院した。濃厚接触者らを含めて計19人を入れ替えて臨んだ25日のヤクルト戦(神宮)は競り負けた。

虎がショッキングな事態に見舞われた。球団は25日午前、2軍の浜地が新型コロナに感染したと発表。午後には糸原と陽川、岩貞、馬場の4選手と1軍スタッフ2人の計6人の感染も明らかにした。20日まで1軍に同行していた浜地の感染が24日夜に判明したため、1、2軍の監督、コーチ、選手、チームスタッフ147人全員がPCR検査を受け、大量感染が発覚した。

浜地は21日から軽度の頭痛を感じていて、24日に鼻づまりや軽度の頭痛、倦怠(けんたい)感を申告して病院を受診した。直近は2軍調整で、22日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)に中継ぎ登板。ただ、11日から20日までは1軍登録されており、19日には遠征先の名古屋市内の飲食店個室で、馬場を含むチームメート計4人で会食した。行動履歴を保健所に提出した結果、同席した小川と岩崎は濃厚接触者と判断され、出場選手登録を抹消された。

一方で19日は福留と糸原、陽川、岩貞、江越、木浪、小林、スタッフ1人の8人が、同市内の別の飲食店を貸し切って会食。そのうち岩貞、陽川、糸原とスタッフ1人が陽性判定を受けた。球団は念のため参加者を濃厚接触者と同様に扱うことを決め、計10人が登録から外れる事態となった。

阪神では3月に藤浪ら3選手が感染。外出自粛が呼びかけられる中、他に4選手と球団外の人物とで知人宅で会食したことが問題視された。現在は感染拡大状況などを考慮し、広島と名古屋の遠征時は球団指定日に限り、球団関係者や家族との外食を許可。9月は19日が指定日だった。外食時は個室や4人まで、手洗い徹底という制限をつけており、8人での会食は球団ルールから外れていた。

25日にナゴヤ球場で行われる予定だった2軍中日戦は中止に。名古屋遠征のメンバーから9選手が1軍に招集され、藤浪らが急きょ東京入り。計19人に及ぶ大量入れ替えとなった。複数感染に陥ったチームは、ナイターでヤクルトに競り負けた。【松井周治】

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阪神谷本球団副社長兼本部長(55)が25日、チームから新型コロナウイルス感染者が出たことについて、オンラインでの取材に応じた。冒頭「プロ野球界の関係者の皆様、マスコミ関係者の皆様、保健所の皆様、それ以上にファンの皆様に大変ご心配をおかけしたことを本当に申し訳なく思っております」と謝罪した。

名古屋遠征中の今月19日の会食に参加したメンバーから感染者が出た。谷本副社長は、感染経路の特定については保健所管轄のため、自身から発するのはふさわしくないとした上で「ハッキリはしていないと思います。ただ、会食が原因であろうと推測がつくような結果となっているところでございます」とした。

1つの外食は8人で行われたが、4人までという球団ルールから逸脱している。この件については「非常にゆゆしい事態だと思っております」。ただ「4名の会食においても同じく陽性が出ている」ため、球団指定日に外食を認めたことなど「私の判断がミスジャッジだったと反省しております」と受け止めた。9月の球団指定日は19日の1日だけだった。それでも、感染者が出たことで、今後は外食や会食のルールを見直す可能性にも言及した。

クラスターの認定に関しては「保健所の管轄のようですが、クラスターというお話は出てきてございません」としていた。