阪神の藤浪晋太郎投手(26)が公式戦7年ぶりの救援で、決勝ソロを浴びた。

同点の5回に2番手で登板。2イニング目の6回に先頭の村上にバックスクリーンへ運ばれた。チームスタッフ2人を含めて計7人が新型コロナウイルスに感染。前日25日に計19人の入れ替えを行い、藤浪も2軍から駆けつけた。緊急昇格で貢献できず、今季6敗目。チームは3連敗となった。

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藤浪は覚悟したのか、静かに振り返った。大飛球がバックスクリーンさえも越えていく。顔色ひとつ変えなかったのは、せめてもの意地だったのかもしれない。

「ボール自体は悪くなかっただけに、あの浮いてしまった1球が悔やまれます」。同点で迎えた6回裏無死。4番村上への2球目だ。内角低めから真ん中付近へ、原口のミットが動く。152キロ直球を豪快に振り抜かれた。決勝弾。力勝負に敗れ、6敗目を喫した。

レギュラーシーズンでは13年4月7日広島戦以来、2729日ぶりの救援登板。「CSやフェニックスリーグでも経験していて、全く初めてというわけではないので」。5回は2者連続三振から1安打無失点。6回も被弾後は3人で終わらせた。2イニングを無四球3奪三振で1失点。9月上旬の1軍登板時と比べてスライダーの制球力は格段にアップしている。それでも、負けては喜べない。

当初は前日25日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)で2回を投げる予定だった。大阪から名古屋に移動した24日夜、事態が急変した。浜地の新型コロナウイルス感染が判明し、試合は中止に。その25日は1軍での集団感染も明らかになり、計19人の入れ替えが断行された。藤浪も急きょ名古屋から上京。ブルペン待機の覚悟を固めた。

3月下旬、自身も新型コロナに感染した。「自分の陽性が発覚したことでチームの動きが止まってしまった」。猛省した感情を忘れるはずがない。今回は岩貞ら計5人の中継ぎ投手が登録を抹消されていた。少しでも仲間の力になりたかったが、この日は失投を打ち砕かれた。

矢野監督は「晋太郎らしいボールは投げていた」と評価した上で、今後の起用法については「こんな状況やから、どこでどう使うかとかは、ちょっと計算できない」とした。当初は中4日で10月1日の中日戦に先発する流れだったが、プランが変更される可能性も十分ある。いずれにせよ次回、やり返したい。【佐井陽介】