オリックスが今季最多20安打&最多タイ12得点で、4カード連続の勝ち越しを決めた。毎回&今季2度目の先発全員安打の猛爆だ。 「自分だけ(ヒットを)打ってなかったんでドキドキしながら」。パズルを完成させたのは、育成出身の大下誠一郎外野手だった。2点差に迫られた6回2死一、二塁。「初球から狙っていた。その1球を捉えられた」。外角139キロ直球を振り抜くと、打球は左中間フェンス最上部に直撃。「とにかく(外野の)間を抜けてくれと思って走ってた」。無我夢中で三塁に達すると右拳を突き上げた。この2点適時打で先発全員安打だ。

絶叫モンスターになりつつある。「声を出さないと落ち着かない。(試合に)出ていないときでも貢献できる」。野太い声で仲間を鼓舞し、今月中旬の大下昇格後のチームは12試合8勝3敗1分けで勝率7割超え。最下位ながら9月は勝率5割だ。「勝ちたい思いが強い。それがみんなに伝わっているのかなと」。

喉のケアは中嶋監督代行の気遣いで潤す。「いつもベンチで監督にもらうんです。声が裏返ると『あめ食え』って。ずっとファームのときから変わらず。声が裏返ったら気遣いをしてくれる。最高ッスね…」。かすれた声は、勝利を導く勲章だ。【真柴健】

◆大下誠一郎(おおした・せいいちろう)1997年(平9)11月3日、福岡県生まれ。白鴎大足利から白鴎大を経て、19年育成ドラフト6位でオリックス入団。9月14日に支配下登録され、同15日に1軍昇格。プロ初打席で本塁打を放った。171センチ、89キロ。右投げ右打ち。